野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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津軽 三、青森

太宰治のふるさと・金木巡りを大いなる充実感をもって終いにした私は、今度は一路、弘前に向かった。

弘前までの移動だが、これについては、あまり紹介すべき事項がないため、
出来る限り事務的に、その移動経路を説明しておくことでお茶を濁しておく。
まあ、ここにおいて、私は動く箱に入れられて運搬される、ただの肉塊だったというわけだ。


津軽鉄道 金木駅
     ↓
津軽鉄道 津軽五所川原駅
五能線・奥羽本線 五所川原駅
     ↓
奥羽本線 弘前駅 ←New!


というわけで、素っ気なくも私は弘前への初上陸を果たした。

初上陸ということで心躍るものがあったが、実際的に、弘前のどこを見物しに行こうかは決めてなかった。
候補としては、 ①喫茶店・万茶ン か、ベタに ②弘前公園 に向かうかの二つがあったが、
それまで金木にいたことを考えて、今日は太宰まみれの一日にするのもいいんじゃないかと思い、
最終的に万茶ンに行くことにした。

その日の計画はそれでいいが、
ここで私は、翌日への布石を投じておこうと、弘前駅にある観光案内所に立ち寄った。
翌日は弘前駅から出るバスを利用して、白神山地に行くつもりだったので、その乗車券を買っておこうと思ったのだ。
何度でも言うが、私は大きな身なりと異なり、大変な小心者のため、常にもしもの時を考えて、事前準備やお膳立てや根回しにかなりの時間と神経を費やすきらいがある。
案内所の職員にバスのことを訊ねてみると、丁寧な口調で答えて曰わく、乗車券はここでは販売していないので、向こうにある弘南バスの窓口で買って下さい。でも窓口は今日は終わってしまったので、明日の朝買いに行って下さい、と。
結局乗車券は翌日に買わなくてはならなくなった。
これにて、私の事前準備の試みは徒労と化した。
さらに、職員さんの口から、にわかには信じられない、というより信じたくない情報が飛び出た。
どうやら、翌日私が体験するつもりだった、白神山地の人気の散策コース・暗門の滝歩道が、先日の大雨によって全面歩行禁止の措置が取られているというのだ。
出発数日前からこのコースを歩行するつもりでルンルン♪していた私はここにきて、ぐぬぬ・・・と唸るばかりであった。
明日の予定はどうしよう。今夜、宿舎で考えるべき案件が、予期せず現れて困ったの巻。

ここでの結末は後味が悪いものだったが、案内所の職員さんは、懇切丁寧に説明をしてくれて、感じがよかった。
顧みるに、青森の人は総じてとても丁寧かつ善良な応対をしてくれた。
義理や職務で話をしているような感じがしないのだ。
私はこれまで何回かひとりで旅をすることがあったが、自分の社会に馴染みずらい外見のためもあるだろうが、青森の人のような、思わずこちらまで嬉しくなってしまうような取扱いはあまりされてこなかったので、ここにきて初めて、旅先に於いて人心地を得ることができたように感じた。


さて、明日の事を考えるのは、後回しにして、
先程立てた計画に沿って、喫茶店・万茶ンに向かった。

弘前市内の観光には、弘南バスが運行する土手町循環100円バスが便利だ。
約10分間隔で走るバス路線で、市内の名所の近くをぐるぐると循環していて、一回乗車で運賃は100YENなのである。
時間の小回りがきくのと、運賃が分かりやすいこともあって、今回の旅に於いて弘前観光に大変重宝した。
弘前駅前からこのバスに乗り込み、目的の下土手町までバスに揺られる。
目的地に着くまでの時間も、私にとっては大事なもので、
車窓から街並みを拝見し、ここでの人人の暮らしに思いを馳せるのもよし、
徒歩でかかるだろう時間を計算したり、だいたいの地理を頭に入れて、今後の観光に活かすもまたよし。
ここでは現代文明の箱に入れられて、ただ輸送されるだけの“モノ”にはならないようにしたい。

途中弘前大学病院にバスが入ったが、やはり病院は平地にあるに限る。
高台にある病院なんて、不便である上に、どこか高慢な感じがしてどうもいけ好かない。
私の最も身近にある病院を思い、せめてバスが通っていればだいぶ便利にならないかしら、まあ無理だろうな、土地がないからな、と頭の中で勝手にひとりごちた。

そしてなんやかんやで下土手町バス停に着くバス。
そこからすぐの路地にある、喫茶店・万茶ン
太宰治が旧制弘前高校に在籍していた時に通っていた店だ。
私の太宰づくしの一日は、その舞台を移しただけでまだ終わってはいなかったのである。
今回写真は撮っていないが、入口には個性的な、矢状断されたコントラバス(なのかどうかはよく分からない)が置いてあるので、すぐに分かった。
私はあまりこういう喫茶店には入らない(そもそも外食をあまりしない)性質で、さらに、これまでも度度登場した小心がまたしても姿を現し、かなりの緊張をおぼえたが、さあ行くぞ!と店内へ。

貸し切り。

うーん、てっきり「店内にはお客がごった返しの図」を想像していたんだけどな。
まあこれは幸運なこと、人目はなるべく無い方がいい。
ということで、ここで肩がスッと軽くなったような気がし、さらに調子づいて、気分は(あくまで気分だけ。見た目には出さない)意気揚々と席に着く。

この時はもう夕方近くになっていたのだが、実は津軽に着いてから今まで、チョコレート数粒と例の“アイス・カルピス”とバニラアイスくらいしか腹に入れてなかったので、この時の私は軽く空腹状態であった。
この旅で学んだのは、自分は昼飯を食わなくとも割と動ける、ということだ。
普段は必ず三食を摂る生活をしているので、このことを学ぶ機会はこれまでなかったのだが、
旅先の不規則な行動パターンにおいて、丁度よく食事のすることができない環境に身を置いてみて初めて、
自分は昼食を抜いても結構生きていけることに気がついた。
とは言っても、習慣として昼食は私の生活に根付いているので、今さら暮らし方を変化させるつもりは全くなく、
ここで学んだのは、あくまで妥協案として昼飯を抜くのは、アリということだ。


さて、話が逸れたというレベルを通り越して、もはや座標移動してしまっているところで、
話題を本来のものに戻そう。

ええと、軽い空腹を感じていたので、私はお店自慢のコーヒー「太宰ブレンド」とケーキのセットを注文した。
・・・あれ。こんな拍子抜け乙の話題だったっけ。
なんか話題を戻して損した気分だぞ。

品物がやってくる少しの間、店内を見回してみる。
太宰が通っていた、ということでよく知られているが、実はこのお店は、東北最古の喫茶店ということでも高名である。
創業は1929(昭和4)年。歴史のあるお店である。
確かに内装には、喫茶店らしく「洒脱」や「瀟洒」という言葉を思い浮かばせる雰囲気の他に、歴史を感じさせる品格や重厚感の香りも漂っている。
大袈裟な表現になってしまって甚だ恐縮だが、要するにとても感じのいいお店ということである。
・・・今度は要し過ぎてしまって甚だ恐縮である。

その名の通り、太宰がよく飲んでいた太宰ブレンドを飲んで、私はよく言われる「本当においしいコーヒーはブラックで飲むとおいしい」という通説を信じることにした。
なるほどおいしい。
私は、その、まあいわゆる甘党のケがあるのか、あるいは単に苦いものを好まないのか、
とにかくブラック・コーヒーというものが苦手だった。
ブラック・コーヒーは毒である、と臆面憚らず演説し、必ず砂糖とミルクを入れなければコーヒーを飲めない人間だったのだが、
せっかくだから・・・と、ブラックで飲んでみた太宰ブレンドは、飲んでも全く嫌な感じはしなかった。というかおいしい。
これは事件である。
これが大人になるということだろうか。違います。コーヒーがおいしいからです。

セットのケーキもおいしかった。
ショコラケーキというものだろうか、実に私好みの味である。
そしてケーキの層の中に、青森らしいリンゴが組み込まれてある。
私には意外な組み合わせだったが、思ったよりも合う。
そして何よりもケーキには生クリームが載っかっているのが嬉しい。
私は生クリームに目が無い。

お店についてマスターにあれこれ聞いてみたかったが、
店内を見渡し、コーヒーとケーキを味わっているうちに、
それはまったくの野暮であると気がつき、素直にありのままを楽しもうと思った。


ここでは静かな至福の時間を過ごした。
こういう旅も悪くない。


さて、そろそろ時間も時間なので、宿舎のある青森に向かうことにする。
弘前の一喫茶店での出来事だけで、結構な文量になってしまったが、
できれば青森でのことも記録してこの章はお終いにしたいので、
読者諸君にはもうしばらくお付き合いを願う。


青森市、特に青森駅周辺。
私はこのエリアにとある期待を抱いていた。
いつだったか、地方都市の駅前の光景の無個性なことを非難したことがあったが、
今回訪れ、滞在する青森駅はどうか面白みのある街並みであってほしい・・・!と願っていた。
その願いは叶った。青森駅はいい。
駅前の中心通りは変わり映えしないが、駅からすぐのベイエリアは個性があって歩くのも楽しい。
空に浮かんでいるように見えるベイブリッジが近未来的な外見をしていて、とてもワクワクする。渡りたい。

あとでゆっくりと散歩するとして、まずは宿舎に行って荷物を置く。
今回私が利用したのは、高評価をするので実名を出しても別に構わないと思うが、
ウィークリー翔ホテルチトセ」というビジネスホテルである。
アメニティなし、部屋の清掃・ゴミ出しはセルフ。
だけど、宿泊料がとても安い!
一番安いので一泊1,900YENだ。ウハハどうだ信じられないだろう。
ネットでこのホテルを見つけた私は、ここに二泊をすることにした。
アメニティは自分で持ってくればいいし、何より滞在費が安く抑えることができるからだ。
こういうホテルは貧乏学生にはとても嬉しい。
いざ着いて部屋を見てみても、全然古くないし清潔でいい。
ただ難点があるとすれば冷蔵庫がないことかな。

さて、部屋に荷物を置いて、一息、いや、四息くらいはついたあと、
夕食を求めに夜の街に繰り出した。
ここまで来たのだから、せっかくなので青森らしいものを食べたいところだ。
そんな私に抜かりはなく、実は駅からホテルまでの道中で、郷土料理という看板を掲げたお店にいくつか目星をつけていた。
その中から、ホテルの裏手、一番近いところにあるお店に入る。
その名も「大もりや
カウンターと奥に座敷席がいくつかあるだけの、庶民的な食堂だ。
オシャレな創作料理レストランももちろんいいのだけれど私の暮らしにはあまり馴染まなくて、居心地が悪い。
私は庶民なので、こういう庶民的な店の方が似合うし、気疲れしないから好みである。
お父さんとお母さん(お店は家族で営んでいると思われる)に、青森の郷土料理といったらどんなものがあるか訊ねてみると、「貝焼き味噌」という答えが返ってきた。
貝焼き味噌、うん、聞いた事がある。
太宰治の『津軽』でも紹介されてあった。


「卵味噌のカヤキ(今で言う貝焼き味噌のこと)というのは、その貝の鍋を使い、味噌に鰹節をけずって入れて煮て、それに鶏卵を落して食べる原始的な料理であるが、実は、これは病人の食べるものなのである。病気になって食がすすまなくなった時、このカヤキの卵味噌をお粥に載せて食べるのである。けれども、これもまた津軽特有の料理の一つにはちがいなかった。」-『津軽』より


もちろん貝焼き味噌の御膳を注文。
まずはビールを飲む。おっと、太宰風に言ったら“ビイル”だな。
あまりビイルは日常的に飲む向きではないが、この日のように歩行に次ぐ歩行を重ねた後のビイルは、成程とても美味いものである。
貝焼き味噌は、まあ味の予想はついていたが、とてもおいしい。ご飯が進む。
果たして一日に何回、青森にいることの実感を感じればいいのだろうか。
他のおかずも、青森の海の幸満載でおいしかった。
こういう食堂が私の拠点にもあればいいなと思う。
いやしかし、これは初日の夜から大変な贅沢をしちゃったぞ。


食後は夜のベイエリアを散歩した。
A-FACTORYという商業施設があったので、入って、買い物をする。
リンゴ酒、気取って言えばシードルを購入。
しつこいようだが、リンゴ酒ももちろん『津軽』に登場する。
この時の私はまだ、青森で買ったリンゴ酒と全く同じものが、自身の生活拠点のいたって平凡なスーパーで販売されていることを知らないので幸運である。
A-FACTORYからさらに海側入っていくと、なにやら怪しい階段通路があったので、もしやと思い昇ってみたら、
目に入った瞬間からずっと気になっていて仕方がなかったベイブリッジ上に出てこれた。

130910_193224.jpg

正式名称はわからないのだが、このデッカイ柱がライトアップされていてキレイである。
柱を真下から見上げると、本当に大きく、遠近感が掴めなくなる。
見上げながら歩くと、平衡覚もおかしくなる。軽く酔った。
私もどうやらバカサイドにいるようで、高い所が大好きである。
このベイブリッジもかなり高いところを走っているので、手すりから下に広がる海を見下ろすのは、大変にいい気持ちだった。
下界の海に、細長い桟橋を発見。後で渡ってみようと思う。
私はA-FACTORY側から昇り、アスパムに向かうように歩道を歩いていたが、結構歩いても道の先に降りる所が見えないので、不安だったからまたA-FACTORY側に引き返して下界に降りた。

そこでブリッジ上で見つけたひょろ長い桟橋の様子を観察すると、どうやらこれを渡って向こう側に行っても、宿舎に帰れそうであったので、当然渡る。
この桟橋はどうやら「ラブリッジ」といういけ好かない名称で呼ばれているらしい。
名前はどうかと思うが、まるで海の上を歩いているような、良質な散歩道だった。早朝にまた来てみたくなる感じだ。
これによって、どうやらアスパムの方までも歩いていけるみたいだ。
ここまできたらアスパムにも足を運んでみようかと考え、ひたすら歩行する。
桟橋からアスパムまでは予想よりも距離があって、辛かったのは事実だが、
おかげで、これまた早朝の散歩にもってこいな広場を発見できた。
散歩にふさわしい場所を見つけるのはとても楽しいことだ。
なお、後で調べてみると、この広場は青い森公園というものらしかった。
こういう公園が家の近くにあるのはうらやましい。

さて、そうこうしている内にアスパムに到着なのである。
出発前の予習で、もう施設内のお土産屋は閉店していることを知っていたが、
中の様子を一度見ておきたくて、入ってみる。
案の定お土産屋はどれもシャッターが降りていて夜の寂しい光景を演出してくれている。
お店が閉まっている以上何もできないが、施設の内部がどうなっているのかを確認できただけでも大きな収穫である。
明日あたりにでもまた来ればいいだろう。

アスパムを出て、宿舎に戻る。
思ったよりも距離はなく、私は宿舎の立地のよさを実感した。

なんとなく歌いたくなったので、その後また外に出て2時間程ひとりカラオケをしたのだが、
これについては平凡な感想しか出てこないので省きたい。
強いて何か言うのであれば、地域によって店の料金システムが違うのは戸惑うのでやめてほしい、と。
あ、あと、学生料金を導入してほしかった、と。
あ、あと、DAMはもっと平沢進/P-MODEL楽曲を充実させてほしい、と。


はてさて、明日は白神山地。
プランをどうするか考えて、就寝。
あまり憶えていないが、寝付きはよかったと思う。





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では、失敬。

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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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