野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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人間工場 (美術館で会った人だろ2)

 日曜日。曇り空。私は休日の手持ち無沙汰から、昼前に気まぐれの外出をした。近くの美術館で行われていた特別展がこの日に最終日を迎えるということで、気まぐれとは言ったが、実際はそれを念頭に置いていた。美術館までは歩いて向かったが、道中の森閑としていて休日とは思えないほど人気のないのが少し気味悪く思えた。普段は子供達で賑やかであろう小学校の運動場も、この時はひとりの姿もなくサッカーゴールだけが寂しく立ちつくしている。私はこのような侘しい光景を見ると、理由もなく申し訳なく思ってしまうのであまり気分はよくなかったが、しかしだからといって、しんと静かなのは決して悪くはない。こうなってくると、邪魔なのはどこからでも聞こえてくる無粋な車の走行音だけだ。私は、個人的な風流を鑑みれば、モータリゼーションのいちばんの弊害は、どんな素朴な田舎町だとしても、四六時中車の音に囲まれて暮らさなきゃいけないところだと思っている。だが一方では車がなきゃ暮らしに不便だということも分かっているのだ。もしかすると、人々の生活が車なしでは営めなくなってしまったこと、あるいはそのような強迫観念が生まれてしまったことこそが、超車社会の最大の弊害かもしれない、なんてことを考えていた。

 美術館には、最終日という効果もあったであろう、予想以上に大勢の人が集まっていて思わず閉口した。今回の展示は、江戸から明治にかけての浮世絵を集めたものなのだが、「猫」というのがひとつ大きなテーマになっていて、動物好きの私は以前から興味を惹かれていたのである。国芳や周延の、色彩豊かな着物に身を包んだしなやかな女性と奔放でミステリアスな猫を組み合わせた画に妖艶なものを見たが、悪趣味の私は、どちらかというと迫力いっぱいの化け猫画の方が好みだった。
 私は妙なところにこだわりを持つ性質で、おそらく人並み以上に、嫌いに思っている物事が多いと思う。この場でもその例は適用され、というのも、私は展覧会の作品を行列になって観るのが嫌いなのである。もちろん私もできることなら飾ってある順に巡って展示品を鑑賞したいのであるが、館にたくさんの人が詰めかけたときにできるあのベルトコンベアー的な流れ、前の人が進んだから私も進もうという空気、後ろの人のことも気にしなきゃいけないような雰囲気が好きではないのである。そんなことをされたら落ち着いてゆっくりと鑑賞できないのである。私は決してその集団の一員とはなりたくないので、そういう場合は一度出来かけの列から外れ、人の集まっていない作品から堪能することにしている。飛ばした作品は人気がなくなったときに戻ってきて観ればいい。この日もそのような伝でやっていたのだが、どうしてかやけに動き回らなくてはいけなかったので、疲れてしまい、会場の中にあるソファに腰かけて、しばらく遠くから客の動きを観察していることにした。するとそこには“人間工場”とでも言えそうな、見事な流れ作業ができており、見ていると、作品よりもかえってそっちの方が面白かったかもしれない。年配女性のトリオが常に一団となって動き、見れば誰でもわかるようなことをいちいち指摘し合ったり、そばに添えられている解説文を代読し合っているのもまた面白かった。

 ところで、この美術館には、各地のそれと同じように常設展示というものもある。私は普段は特別展にのみ出掛けるのだが、一度も観たことがないというのもアレがナニに思って、この日はついに常設展も覗いてみることにした。これまで一度も名前を聞いたことはなかった、新潟にゆかりのある画家のコレクション展が開かれていた。しかし、見た限りではありとあらゆる展示作品が現代美術にありがちな抽象的なもので参ってしまった。私は美術館に行く方ではあるが、決して文化人ではないし、白状してしまうと、芸術なんてものは全く解さないのである。そのため、こういう比較的新しい時代に生まれた前衛アートに対しては「これのどこがいいんだろう・・・。」という感想を抱いて、珍しく人々のマジョリティ側に属するのである。けばけばしい色合いの円や方形を組み合わせただけの作品から何を感じとればいいかがまるで分からないのだ。教えておじいさん。然るに、この展示会に至っては早々にして、来なきゃよかったという後悔の念のみが湧いて出てきた。しかも、会場がやけに広くて開放的なこともあって、私はとても居心地が悪くなって、とりあえず来訪者の体面を取り繕うように室を一周して、逃げるようにそそくさと展示室から脱出する羽目になった。










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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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