野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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試される大地へ 二、小樽

昨夜は結構疲れていたことや、ベッドが大きくて手足を思いっきり伸ばすことができたことからか、珍しくすんなりと寝付くことができた。
丑三つ時に一度目が覚めたが、すぐさま二度寝に落ちたので、問題なく静養は十分にとれただろう。
北海道旅行二日目の本格的な起床は午前五時三十分。
この日は早くから小樽に出る予定だったので、朝食を摂ったりその他諸々の朝の営みをする時間を考えてこのようにいつもよりも早起きをした。

にしても高級なホテルはやっぱりいい。
私は田舎生まれの貧乏人には違いないが、貧乏趣味は持ち合わせていなく生意気にもリッチなホテルの方が好みときている。
やれカプセルホテルだのビジネスホテルだのを利用することが多いのだが、予算さえあったらグレードの高いホテルに滞在したい向きなのだ。
朝食のビュッフェもメニューが多数あり、至福であった。たぶんバイキングという形式も好きなんだろうな。
しかし、料理がたくさんあるというのに、いつものようなラインナップになってしまうのはどうしてだろうな。
昨日の“ひとり禁断症状”のこともあり、さっぽろ雪まつりの混雑中にいいホテルを取ってくれた家族には感謝の気持ちでいっぱいである。


例の親戚が地下鉄東西線宮の沢駅で私達をピックアップするということだったので、すすきの駅から地下鉄南北線東西線を乗り継ぎ件の駅に降り、すぐさま合流。
今日はおじさんが車で小樽に連れてってくれる。
先のレポートで、案内がどうのこうのということを言ったが、私でもこういう心尽くしは素直に嬉しく思う。
札幌から小樽までは高速道路で30分ほど。
このことは調べていたのですでに知っていたが、その際、自分が思っていた以上に二市間の距離が近いということに軽く驚いた憶えがある。

当地に到着してまずは街並みを車で一周。
車窓と手元の地図を見比べながら行くと、だいたいの位置関係が分かった。
早朝でまだ観光バスなども来ていなく、車通りや人通りもまばらということで、道端に車を止めてまず見物したのは、日本銀行旧小樽支店金融資料館

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これはおじさんの受け売りなのだが、日本銀行の支店があるところを見て察せられるとおり、古くは札幌などよりも小樽の方が発展していたんだそうな。
しかし切り立った崖の近くにある街ということでもう拡げる土地もなくなったため、かつてこの街が担っていた機能や新たな開発口を陸に陸にと求めていったらしい。

CIMG1832.jpg

CIMG1819.jpg

早朝だったので内部には入らず外から眺めていただけ。
時代物の建物だが、外壁が修繕されていてなんだか味がない。
小樽といえば小樽軟石というものが有名で、これを使った建物が街の至る所で見られ、その独特の風合いを目で楽しむことができるが、この旧支店にはそういうものがない。
まあ、昔ながらのデザインで、時代に思いを馳せることは辛うじてできそうではある。

このすぐ近くに、私が気になっていたスポットがあったので、少し様子を見てみた。
手宮線跡地

CIMG1820.jpg

運河に気を惹かれがちな小樽観光において、ここは比較的マイナーな名所だろうと踏んでいるが、私はこれを愛しのことりっぷで知った。
公式の案内がないのでここではことりっぷの説明を参照するが、手宮線というのは旧国鉄が運営していた小樽市内の手宮から三笠市の幌内までを結ぶもので、北海道最古の線路であり、国内でも三番目の古さというのだからその歴史はダテではない。
しかし、昭和60年に廃線となり、現在はその名残として線路が残され自由に散歩することができるということだった。
私が訪れたのは真冬も真冬という時期だったので、線路は雪で埋まっているのだが、

CIMG1821.jpg

上図のように、トンネルが掘られ、線路も地上に顔を出しており、無事にお目にかけることができる。
雪のトンネルを走る線路というのも、なんだか創作の世界にいるようで、上を渡っていると不思議な気分だった。
春先や初夏でも気持ちよさそうだった。秋も味があっていいかもしれない。
違う季節にも訪れたい感じだった。

それにしても朝早い時間ということが理由だろうが、小樽の街並みは静かでいい。
昨日は人ゴミで大変だったので、その思いもひとしおだった。



私達一行は、一度小樽の中心街を出て、一路祝津に行き場を求めた。
どうしてか今日は私の意向を優先してくれるとのことで、時代物の建造物の中でも邸宅が好きな私は、この集落にあるにしん御殿小樽貴賓館(旧青山別邸)を希望したのだ。

しかし、目的地まで少し迷い、なぜかノイシュロスという崖の上のホテルに至ってしまった。
実を言うと、私は地図を見ていたので御殿までの道のりが分かっていて、どこでどう間違ってホテルに着いたのか、一から十まで理解していたのだが、ちょっと気を遣ってしまい、いつどうやって真実を告げようか機をはかっていたのである。
だが、このエラーのおかげでいわゆる祝津パノラマ展望台というビューポイントに寄ることができた。
この大パノラマを見よ!

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見渡す限りの北の日本海、270°のオーシャンビューだ。
読者諸君には祝津の場所を調べてもらいたいが、海の向こうに見ゆる陸地も北海道なのである。


さて、なんやかんやで御殿の正しい場所を告げ、やっと希望の貴賓館に到着である。
庭に雪が積っていたので、別邸の全体像を写すことは困難であった。
旧青山別邸は、小樽の有名なニシン漁で繁栄した網元の青山家の別荘である。
ちなみに本邸は“北海の漁業王”青山留吉の生まれ故郷山形県遊佐町にあるらしい。
別邸に入るにはまず併設されてある貴賓館という施設に入って入館料を払う必要があるが、
この貴賓館に入ってすぐのホール天井がまた壮麗。

CIMG1849.jpg

なんということでしょう。
天井には花の絵が貼りつめられているではありませんか。
これは別邸とは違って新しく、たしか平成16年に北海道の画家たちが描いたものだという。
圧倒される綺麗さだった。
肝心の邸内は写真撮影が許可されていないが、主に和風のつくりである。
襖絵や家具に当時の豪勢な暮らしが、欄干の意匠や柱の塗りには棟梁たちの苦心の跡が窺える。
たも状の階段は必見ですヨ。
主に日本式の邸内には小さな洋間もあり、これまで見て来た百畳敷の広間や、うぐいす床とのギャップに興味を覚える。
私は洋館が好きな人間だが、本当に異国にある洋館はたぶん見向きはしないだろう。
日本のなかにあるからこそ洋館の魅力は映えるのだ。
つまり和洋折衷というものが好きなので、この豪邸の和風な中にちょこんと佇む小さな洋室は特によかった。
あまりにも邸宅内部の設計が気に入ったので、売店で写真集を購入してしまった。
また別邸は見事な庭園造りにも評価が高く、牡丹やアジサイなど、季節によっていろんな花を目にすることができるという。
先の手宮線のこともあるが、ここも違う季節に訪ねてもよさそうだ。
祖父母や姉、さらにはおじさんにもこのスポットはよかったみたいだった。


物寂しい冬の祝津をあとにした私達は、再び小樽の観光の中心へと戻ってきた。
今度は運河沿いに街を歩くことになった。
小樽を象徴する風景・小樽運河

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ノスタルジックな光景に、ことりっぷや各案内書を見ていたときから虜になっていたのだ。
冬の雪景色も中々いいものだ。

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日が落ちてからはライトアップもするそうで、観光パンフレットでその様子を見てみたが、白い雪の演出で、かなりロマンチックに仕上がるみたいだった。今回は断念したが、また来た時には是非見ておきたいと思った。
雪まつりにしろ、運河のナイトビューにしろ、北海道の観光地は雪を利用するのがうまい!
雪が積もっていて寒い冬の季節にもお客を呼べるというのは大きな強みだろうな。

運河沿いの小道を歩けば、時代を忘れたような心持に至る。例の二重廻しを着てればさらに気取ることができただろう。
向こうの石造りの倉庫はレストランなど、また新しい使われ方をされているみたいである。
冬もいい風情だったが、これまた秋口辺りもよさそうな雰囲気である。
これは新潟ー小樽のフェリーで再び小樽旅行待ったなしか!?

その後は有名な硝子屋を覗いたり、倉庫を利用した回転寿司屋でランチと洒落こんだ。
寿司屋はチェーン店で、たしか新潟無機終焉都市にも店舗があったことと思うが、地域によってお品書きは違ってくるのか楽しみにしていたが、予想以上だった。
北海道は強い。
小樽特産のニシンの握りはネタの上にちょこんとのったしょうがと小葱が味を引き立て、珍魚八角は驚くほどの脂のノリ。
きんき活たこもまた美味であり、季節ものの真たちの白子のポン酢軍艦や天ぷら軍艦もとろけるほどに甘く、とろサーモンも口の中で溶け、生かきホタテは大粒、豊かな風味。
昨夜の雪辱とばかりに北海の幸を堪能することができ、至福の時間だった。
その土地の料理は旅の醍醐味のひとつ。


素敵な時間を小樽で過ごし、一同は一日ぶりに新千歳空港に戻ってきた。もう帰宅の途につくような時間なのである。
離陸の時間まではそれぞれ土産を買ったりと思い思いに過ごした。
すると空港内の広場で、初音ミク関連のイベントが開かれていたのですこし冷やかしてみた。

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雪ミク」というのは、初音女史が冬の北海道を応援するときの姿なのだそうだ。
そういえば昨日の雪まつりの売店でのこのデザインの初音女史のグッズが売られていて、私は気がつけばぬいぐるみストラップを購入していたのだった。気がつけば。
私はもちろん初音女史のことは存知あげている。キャラクターデザインとしては案外気に入っている。
しかしボーカロイドマスターではなく、そもそもボーカロイドの血の気の失せたような歌は全然聴かない。
だから最近のボカロ人気は全くついていけない。
だから好きなのはあくまでもデザインだけということになる。

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イベントホールでは、デザインを担当するKEI先生のサイン会が開かれ、野次馬根性から少し興味を覚えたので、追加のグッズ購入も辞さない覚悟で係員に詳細を訊ねてみたが、曰く特定のCDの購入者特典のチケットがなきゃいけないそうで、私は煩わしさからサインをもらうのは断念。
空港内にはなぜかアニメイトも入っていて、そこで買えばよかったのだが、そこまではする気は起きず、代わりに喫茶店で評判のよつ葉ソフトクリームを食べることにした。ああ、おいし。


そしてついに訪れる旅の終わり。
秋田行きの祖父母・姉と別れ、おじさんと別れ、搭乗する。
おじさんとは当初はだいぶ気まずかったが、二日目ともなると少しは打ち解けたようになった。
たぶん一対一で話すのは平気なのだ。集団の中で一対一で話すのが苦手なのだ。
大雪の影響でほとんどの路線が出発遅延となっていて、なかには一時間以上の遅れが出ている便や、すでに欠航となった便もあったのだが、我らが新潟行きのものはなんとわずか10分遅れと、日々吹雪と向き合う者たちの意地を見た気がした。

すでに暮れかけている千歳の空。
滑走路へと進む機内の窓から、ずらりと縦に並んで続く除雪車のパレードを見た。
薄暗い中、風雪の白いぼかしの向こうに見える橙色の電灯を灯す車のキャラバン。
自分が今見ているものが現実でないような幻想的な光景だった。
昨日だったか、祖母が北海道に来れたことを「夢みたい。」と言っていたが、
確かに、あっと言う間に来てあっと言う間に行く北海道旅行は、本当に夢みたいだったなあと、北海道での最後の光景を目に焼きつけながら思ったのだった。


昼間の往便と場合と異なり、窓から見えるのは夜の暗闇であることがほとんどである。
たまに街の明かりが見えてくるが、空中から眺める夜景というのは小さな街のそれでもキレイなんだと知った。
読書をしていたら、あっと言う間に新潟に着陸するというアナウンスが流れた。
どれどれと窓の外を見てみたら、そこには新潟の夜景が映っていた。
私は驚いてしまった。
常日頃から「無機終焉都市」と言って憚らない新潟市が、こんなにもエレクトリカルな表情を見せるなんて!
キラキラとした明りが広がっていて、それはそれはキレイだった。
この中には、自分の生活もあったんだなと考えると、少し感慨の浅からぬものがこみ上げてきた。
なんだか新潟を見直すような気持ちだった。


夜ということで閑散としている新潟空港に降り立ち、
帰りのバスに乗るべく、空港の外に出た私を待っていたのは、


「雨ェ・・・。」










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  1. 2014/02/12(水) 11:22:01|
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コメント

難波です。
来週私も北海道へ行きますので、前回と今回の記事は非常に参考になりました。
新潟から新千歳までだとすると、航空会社は赤か青かAIR DOだと思います。青とAIR DOの機種なら737なので、羽田-秋田間のものと同じですね。
想像を絶する寒さとのことですが、普通のコートでは耐えられなさそうですか?ダウンの購入も視野にいれています…
  1. URL |
  2. 2014/02/12(水) 12:07:10 |
  3. 難波 #ihn3MyrQ
  4. [ 編集 ]

Re:

難波さん

 2月は最も寒さが厳しい季節ですから、北海道では一日中気温がマイナスということも結構あるみたいです。
 
 私は寒がりということもあって、上はヒートテック+スウェット+ネルシャツ+セーターを重ね、下にもヒートテックを仕込み、厚手のダッフルコートを羽織って、首にネックウォーマーとマフラーを二重に巻き、厚手の手袋とニットキャップも備えて完全防寒仕様にしたのですが、それでも外を歩くと寒かったです。どんだけ寒がりなんだって話ですけどね。
 でも、札幌などの内陸部はあまり風が吹いていなかったので、もしかしたら人によっては備えていれば案外平気なのかもと思いました。街行く人には、私が思わず「大丈夫なの!?」と思いたくなる服装の人もいましたが道民は強しということでしょうか。
 
 難波さんは寒さに強いかどうかは分からないんですけど、「備えあれば憂いなし」と言いますから、外を歩くことが多くなるのなら、ダウンジャケットや重ね着などで防寒をすればいいと思いますよ。
 
  1. URL |
  2. 2014/02/12(水) 12:35:28 |
  3. 劇場版 それ行け!Shibaken #-
  4. [ 編集 ]

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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

筆者結語

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