野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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「やわらかなレタス」江國香織

 食べものや食事風景をおいしそうに表現できる人に憧れる。プロとは決して言えないまでも一応文章を書くことを趣味としている者のはしくれである私は、日頃読書をしているときも「なるほど、こういう書き方もあるんだナ。」というように、書き手の表現法にいつも(生意気にも)感心してしまうのだが、なんといっても食べもの!その場に立ちこめる料理の匂いや食べもののあたたかな食感、そしてそれらを食べ終えたときの満足感を言葉にしておいしそうに伝えることができる人には感心を通り越して尊敬や憧憬の念を覚えてしまう。
 先日、江國香織さんのエッセイ集「やわらかなレタス」を町の図書館で借りて読んだ。もともとこの本を借りるつもりはなく、館内をぶらぶらと物色していたときにエッセイの書架で見つけたのだ。自慢ではないが、私は江國さんの小説、エッセイはこれまで一つとして読んだことはなかった(本当に自慢にはならない)。江國さんの作品を読むことが私にはなぜか恥ずかしかったのだ。江國作品を読むことが人間として恥ずかしいとかいって非難するつもりではない。これはきっと私ひとりだけが感じるような恥ずかしさだ。だって考えてほしい。屈強な体格と強面を持って顎髭なんかも生やして実に雄々しい私が、いかにも女性的なイメージのある江國さんの作品を読んでいる姿を。ここにあるのはキャラクター・グッズでいっぱいのパンキッシュなファンシィショップに身体の大きなゴツめの男性がいるみたいな、光景のアンバランスさ。このような状況を連想してしまうので私は赤面するような心持ちに陥ってしまうのだ。
そんな私が図書館で江國さんの本を手に取り、しかもそれを貸出カウンターに持っていくというささやかな快挙を成し遂げたのである。「やわらかなレタス」というタイトルに引きつけられたように半ば反射的に他に書籍がいくつか並んでいる中からすっとこの一冊を引き抜いて表紙を見たとき、なんとなくいい予感がした。「む。この本は。」という予感。そしてとりあえず目次を開いてみたときに、このいい予感が当たっていたことを確信した。目次を見てすぐにわかったこと。それはこの本は食べものにまつわるエッセイばかりが集められているということ。タイトルの例をいくつか挙げると「あたたかいジュース」「列車旅と釜あげしらす」「のり弁の日」。タイトル一つ一つからしてセンスがいいのだが、これはきっとおいしそうな文章に出会えるぞ。そういう期待を抱かせるような目次になっていたのだ。
 はじめまして、江國さん。イメージどおりしなやかで女性的な文章をお書きになりますね。江國さんの紡ぐ言葉はなめらかでふんわりとしていて、かつあたたかい。劇的ではないが読んでいてなんとなく「いいなあ。」と思わせる。しかも書いている内容―江國さんが日頃どんなことを考えているか―が素朴であると同時に実に独特で、きっと江國さんは大人の女性でありながら今でも少女のままなのかもと勝手な想像がふくらむ(こういう想像をしてしまうから江國作品を読むのは今も恥ずかしいまま)。ムーミン谷のおはなしやピーターラビットのおはなしなど、とりあげるテーマもクラシックで感じがいい。そして、なんといっても食べもの!目玉焼きから行きつけのバーの料理など、江國さんの食生活を追体験できる話ばかりで、読んでいるとお腹が空くし、お酒も飲みたくなる。旅行記が好きなので、旅先での食事を書いたものはもうたまらなかった。
 実は私は食に鈍感でありたいと思っている。一流の味など知らなくていいと思っているし、味のよしあしなどはよく分からないので、特に毎日の食事にこだわりは持たず(偏食しないようには気をつけているが)、ゆくゆくはあまり量を摂らなくても過ごしていけるように年を重ねるのが理想なのだ。しかし、私もまだまだ青い。この理想実現の決意は未だに揺らぎ続けている。だって食べることは楽しい。誰もが知っているだろう。ちょっぴり贅沢をして買ったケーキのおいしさを、一仕事終えたときに喉を潤すお酒のおいしさを、旅先で食べるその土地の料理のおいしさを!またこの本を読んで思ったことがある。日々の習慣である食事が豊かなものであれば、習慣の積み重ねでできる生活も、生活の積み重ねでできる人生もきっと豊かなものになるだろう、と。










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  1. 2014/03/20(木) 17:09:17|
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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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