野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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 四月から始まった臨床実習も、二週間に一診療科のペースで進み、現在三クール目を終えたところだ。この三シリーズ目の実習では、私たち学生は病院に入院している患者さんひとりの担当につき、毎日診察・問診などをさせてもらうことになっていた。これまで回った二つの診療科でも、私たちひとりひとりに担当患者さんが割り振られたが、それは症例発表を行やレポート作成のためという面が強く、実際に患者さんの診察をしたり、話を聞いたりなどはさせてもらえなかった。そのため、今回私は初めて、本当の患者さん相手に診察をすることになったのだ。
 診察の練習は昨年に十分積んでいるし、実技試験にも合格できているのだが、いざ患者さんを相手取ってみると、ガチガチに緊張してしまい、最初の診察では自分が今何をしているのか何をしたいのかが完全にフライアウェイしてしまった。よりによってそんなときに、持ってきた血圧計が壊れているという小トラブルも起きて、さらに私の焦燥を駆らせる。また、本来ポイントをついていれば大した技術などは要さない問診でも、聞きたい(聞かなきゃいけない)ことが途中でスポンと抜け落ちてしまい、軽いパニック状態で臨むことになってしまった。自分がパニックに陥っていることを患者さんに察知されてはマズいと思い必死に平静を装っていたが、そんな気概も虚しく、どうにもうまい言葉(とても簡単な言葉でいいはずなんだけど、それさえ思い浮かばない)が出てこず、つながりや脈絡に欠けたやり取りを続けるという結果になってしまった。問診項目も全く埋まっていない。「オレってこんなに人と話せない人間だったのか・・・」と診察の初日は落ち込んでしまった。
 だが、毎日の診察を積み重ねていくと、当初はたどたどしかった所作もだいぶ自然に、スムーズにできるようになった(実際に所見をとるのは未だアヤしいところがあるが)。それも単に、頼りない私の診察を毎日快く受け入れてくれた患者さんの協力のおかげである。患者さんの経過に重要とは言い難い診察の練習にも付き合っていただいた。患者さんは「大したことじゃない。」と笑ったが、未熟者の私にとっては勉強の大きな助けとなる貴重な機会であった。
 患者さんとの交流も日に日に自然体で臨むことができるようになった。「臨む」という言い方ではかなり大袈裟に思えるほどだ。患者さんが温和で協力的だったことももちろんだが、患者さんは私の母親と同年代で、対する私は患者さんのご子息と同い年ということで、そういうこともあってお互いに話しやすかったのかもしれない。患者さんは私の質問によく答えてくださったし、また病状の経過とは関係ない話もよくした。私は名札をディズニーランドで買ったパスケースに入れて実習を回っているのだが、患者さんがそれに気がついてそのままディズニーランドの話をしたり、母の日にはなにかしなきゃダメだというお叱りをうけたり、ご家族のことやはたまたお弁当談義など、本当にいろいろな話をした。私は現在医学生として生活を送っており、医療従事者であると呼ばれてもいいような立場にいるのだが、気がつけば周りには医療従事者ばかりが集まっている。となると普段人と交わすことも何かと医療、医学絡みになる。だが、私は医療従事者歴よりはるかに一般市民歴の方が長いので、未だに医学の話よりも、ごくごく一般的の世間話の方が身に馴染んでいるのだ。そのことはこの赤面ブログの内容を見てくれればすぐに分かるだろう。「医大生ブログ」と銘打っておきながら、他と比して医学ネタが極端に少ない。話を戻すが、普段医療従事者に囲まれ医療の話をすることが多い私には、患者さんとする世間話はオアシスのような心安さがあるのだった。私は毎日の診察を億劫には感じていなく、むしろ積極的に出向いていったが、それは患者さんと話をするのが楽しいからという理由もある。第一日の挙動不審はすっかり消え、最後には自然体で接することができた。昨年度に受けた問診についての講義で、患者さんと良好な関係を築くことが強調されていたが、今回に関して言えば、私は成功を収めたといって自惚れてもいいだろう。
 患者さんの診察項目は自分で何をするのかを考えて行うことができる。患者さんの疾患、その合併症、治療の副作用など、いろいろなことを考慮して診察を行う。それは医者の真似事に過ぎないのだが、自分で考えてやるということで、なんとなくだが、患者さんに対して責任感のようなものを持つ。そのような感情は座学では決して学び得ないものだ。医者は実際には、私がこのシリーズで体験したものとは比べられないほど膨大な業務を引き受け、もっと多くのことを考えて働いており、私の経験ではその業務内容の一端にも及ばないことは重々承知しているが、それでも医者としての生活の一端の一端を疑似体験することで、この職業に大切なことは何か、その気づきのひとかけらくらいは見つけられたと信じている。これはとても小さな経験だが、いずれは大きな糧に結びつくはずである。
 本当は患者さんが退院するまで経過を追っていたかったのだが、実習のシステム上それは叶わない。だが私はこの二週間の出来事を忘れることはないだろう。ひよっこの私に多くのことを教え、感ぜさせてくれたはじめての担当患者さんへ、心からの「ありがとう」を。









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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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