野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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それでも町は廻っている

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 好きなマンガは何?オススメのマンガは?普段どんなマンガ読んでんの?このような類の問いをされた時、私はそれがいかなる質問であったとしても、同じ一つの答えを以て返すだろう。「それでも町は廻っている」だよ、と。
 「それでも町は廻っている」は石黒正数が少年画報社のヤングキングアワーズで連載しているマンガで、単行本としては現時点で12巻まで出版されている。どうして自分がこのマンガを読み始めたのか、そのきっかけはすっかり忘れてしまった。この作品はすでにアニメ化がされている(OPがいい雰囲気♪)から、おそらくアニメ視聴が一つのきっかけになったのだと思う。しかし、このマンガには激しいバトルも衝撃的なシナリオもないし、世間でも特に大きな話題には上らなく、比較的地味めな印象がある。それなのになぜミーちゃんハーちゃんな私が、原作までに食指を動かすに至ったのか。理由はおそらく簡単なこと。周りがどうとか話題がどうとかじゃなく、内容が面白いと思ったのだ。他にも、絵柄が好みとかそういう理由で衝動的に購入したマンガもいくつかあるが、当時の興味のまま、今も折にふれて読み返しているものは、この作品くらいである。ちなみにこのマンガ、昨年の第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞している。
 物語の舞台は、東京の下町・丸子商店街。そこに住む女子高生・嵐山歩鳥が、バイトをしている近所のバアちゃんのメイド“喫茶”や、商店街、学校、はたまた自宅で過ごす日常のワンシーンや、そこで起きたちょっとした事件を解決する様子を、一話完結形式で描いている。
 流行りの言い方をすると、“日常モノ”に括られてしまうかもしれないが、この作品の大きな特徴の一つは、登場人物による軽妙な会話劇であろう。作中には、天才的な頭脳の持ち主など現実離れした人物はひとりもおらず、皆どこにでもいるような、ごくごく一般的な人物ばかりだ。だが、こと会話に関しては、誰もが頭の回転が速く、言い回しも独特だったりして、実に軽妙な掛け合いやボケ・ツッコミの応酬を見せるのである。これがこのマンガの大きな魅力。
 1巻のあとがきを見てみると、石黒先生は「コミュニケーションの教科書になるような漫画」を目指していることが分かる。それで思い出したが、この作品の中にはコミュニケーションに苦手意識を持っている人がほとんどいない。人間関係上の理由から躊躇いがちになることはあっても、閉じこもるという選択は決してしないで、皆周囲の人々との交流に大きな門戸を開いているのだ。このオープンなところが、いくら創作上のこととは言え、好感が持てる。今ドキの女子高生も、人前で学校の先生のモノマネを得意げに披露するし、幽霊でさえも登場人物のボケに全力でツッコミを入れる。作中人物の、臆さないで言葉を交わす様子が、昨今の社会状況からすると、爽やかで憧れる。
 また、“日常モノ”の共通項として、いわゆる“あるあるネタ”も、時おり散りばめられているが、これについても、他の作品と様相が違っている。うまく説明する自信はないが、このマンガにおける“あるあるネタ”というのは、「そうなんだよね。」ではなく、「そう“だった”よね。」という思いを与えるものなのである。現在進行形の「そうなんだよね。」ではなく、少し過去に遡り「そう“だった”よね。」という気持ちにさせる。どこかノスタルジーを醸しているのだ。よくある“あるあるネタ”には違いないが、かつて自分を包んでいたような、今よりもっと大切な何かだったような・・・・、少し鼻腔の奥の方をくすぐられるような感覚を覚える。子供の頃の謎の記憶、学校内が社会全体という錯覚などがそうである。
 このマンガは、ミステリーマンガというもう一つの表情も持つ。おそらく石黒先生の趣味だろう。歩鳥の周りで起きるささやかな大事件を、いくつかの手がかりや証言から、彼女、あるいはその弟や近所のお姉さんが解決するエピソードもいくつかある。先に取り上げた会話劇についても言えることだが、読者にいくらかのインテリジェンスを求めることも、このマンガの特徴かもしれない。また、登場人物は直接、あるいはそこまで深く関わっていなくとも、その周りで起きていた、都市伝説的な不思議な出来事を描く話もわずかながらある。だが、この都市伝説的なエピソードが全く見事だと、少なくとも私は思っている。知らないだけで、実は自分たちの暮らしの陰にも、このような奇妙なことが起きているかもしれない。そう思ってしまうほど、このマンガの世界には、非日常が日常に溶け込んでいるのである。一つ紹介するなら、単行本第5巻に収録されている人気エピソード「学校迷宮案内」を選ぶ。歩鳥の弟・タケルが主人公の話だが、小学校での他愛もない出来事かと思いきや、良質なオカルト・ミステリーに仕上がっている。初めて読んだ時は、最後のページで鳥肌が立った覚えがある。
 一話読み切り、かつ時系列がバラバラにされているので、巻を重ねても、作品は一方向にはならず、むしろ多層的になっている。注意して読んでみると、エピソード内に、他のエピソードへの伏線が張られていたりと、本当に緻密で奥行きのあるマンガだと感じる。マンガとしての表現法も斬新で独特だし、人物の心情描写も他では見られないものばかり。怒涛や稲妻のような衝撃はないが、読めば読むほど面白くなる、「それでも町は廻っている」とは、そんなマンガである。









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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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