野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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試される大地へ

一、札幌

土日の二日間を利用して、“試される大地北海道への弾丸旅行に出掛けた。
今回はいつもの野良犬一匹のさびしい旅ではなく、田舎の祖父母・姉との家族旅行の形式であった。
今年度の年始に里帰りをした際、突然にこの企画が持ち上がったのだが、当時、翌日が試験だったとはつゆ知らなかった私は、持ちかけられたときに即答の速さで同行の返事をしたのだ。
まさか自身初の北海道上陸がこのような形で実現するなどとは思ってもいなかった。
今回は旅費や交通費等は一切出さなくていい甘えっ放しの旅で珍しく金銭的には悠々としていたが、それにしてもこういうときの家族の経済力には全く敵わねえ。

実は新潟無機終焉都市から北海道まではフェリーなんかも出ているのだが、日程的にそんなチンタラしたことはできないし、そもそも飛行機でひとっ飛びをすれば簡単に済むことである。
飛行機を使えば旅費が一気に跳ね上がるために、私は旅の移動手段としてのこの方法は完全に無視を決め込んでいたので、大学に入って以来、飛行機というものに乗り込んだことは一度もなかったのだが、しかしこれも祖父母持ちということで、私は実にすんなりと高校生時代以来の久しかった飛行をすることになった。敵わねえ。
ところで、交通費のかね合いということ以前に、実は私は、飛行機なんてものは旅の手段としては最も劣悪なものであり、あれは単なる仕事のためのものに成り下っていると思っている。
ビュンとひと飛びなんてまるで風情がない。
まあこれについては人それぞれ意見があると思うが、私は旅をするのならやはり鈍行の列車にいちばんの興を覚える性質なのである。
さて・・・、“旅人”の私は上のように考えるが、一方で私は、男の子らしく普通に乗り物全般も好きだったりもする。
隠れて“乗り物好き”の面も持っていた私は、上であれこれ言いながらも結局飛行機に乗るのは結構好きなのである。
だって楽しいじゃんね、飛行機。

出発地点の新潟空港までは、新潟駅から直通のバスが出る。
私は駅でこの路線バスを見かける度に、オレには全く縁のないものと決め付け勝手に拗ねていたが、まさか自分がこのバスに乗るとは微塵たりとも考えてもいなかったので、なんてことない出来事だが少し感慨の浅からぬものがあった。
幸いにも、家族が手配してくれたチケットが搭乗手続きをせずにすぐさま検査場に行けばいい便利な種類だったので、離陸までの煩わしさが私の身にふりかかることはなかった。
検査場で愛用のエルエルビーンの編み込みブーツまで脱がされた時には流石に閉口したが。

乗り込むプレーンは廉価のチケット代、あるいはそもそもの需要に見合った小型のもので可愛らしい。
案の定機内は狭く、無駄に図体のデカい私には辛いものがあったが、最大の楽しみのC.Aさんがおかめ顔の美人だったので忘れた。
これまた運良く窓際の座席であったので、天候が吹雪いてきたことを抜きにすればなんだか面白い空路が予感させられる。
そして迫る離陸のとき。機体が動き始めたときのワクワク感は異常である。
滑走路に達すると、一旦停止してから「さあ行くぞ!」とばかりにジェットを噴射する飛行機。すっごい速いよ!
そして窓から見えた地面が段々と遠ざかっていき、あの鉄の塊が本当に空を飛んでいることを私に知らせた。
なんかありがとうライト兄弟。
新潟上空は雲が豊かで視界は不良、機体全体が雲に包まれているみたいだったが、航路を進むにつれ次第に空も明るくなり、津軽海峡を越えるあたりでは見事な青空が見えた。
なお、機内BGMとして平沢進の「上空初期値」をリピート再生していたのだが、実際に空にいて私はやっとこの曲のイメージをつかむことができたかもしれない。





 見よ白き視野を昇り
 見よ「ようこそ」と聞こえた
 見よ錯視の霧は晴れ
 見よ「ようこそ」と聞こえた
 見よ隠し絵は解かれて
 見よ「ようこそ」と聞こえた
         
        ー平沢進「上空初期値」より抜粋


それにしても窓から見える風景があまりにミニチュアのようで(あるいはミニチュアを超えるリアリティーが感じられず)なんだか映像を見せられているような気分になった。
作り物の偽物みたいだったが、もちろん事実はこれとは異なり眼下に映るものはすべてが本物なんだと思ってみると、ちょっと不思議だった。
そこから見渡す地平があまりにも遠かったが、これでも日本という一小国のたった一地方しか見えていないのだと知り、眩暈を伴う昂揚が湧いて出て来た。
ここで機内アナウンスが。

C.Aさん「新千歳空港の天気は晴れ、気温は-8℃です。」

ちょっとまて。気温まて。

さて、私を乗せた飛行機は、新潟を昇り出羽の雲を往き田舎の両親を飛び越し津軽平野さえ遠く見下し北の海峡をまたぎ函館を眺めて遥かに羊蹄山を望みながら一面の木林の中のエアポートに降り立った。

新千歳空港内で、すでに秋田空港からの便が到着していた祖父母たちと合流。
私は広い空港内を探し回っていたので、北海道仕様の重ね着の旅装だということもあって、もう暑くて暑くて仕方がなく少し疲れちゃった。
空港に併設されている電車の駅から、札幌駅までエアポートライナーという急行列車に乗る。
なお、ここまで一度も外に出ていないのだが、合流の際の火照りがまだ続き、電車の中でも暑い思いをした。
およそ50分ほどの車窓からは、自身初の北海道の景色が・・・、とはいってもキタキツネが姿を見せてくれるなどということもなく、特にこの地方らしい光景をお目にかかることはできなかった。
そういえば、一時、建物も車も視野に入ってこない見渡す限りの大雪原があったが、これを見た私は今敏監督の「千年女優」に出てくる鍵の男の故郷の描写があんな感じだったと思い浮かんだ。

なんやかんやで札幌駅に到着である。地下のホームに降りるために、ここまできてもまだ大地の寒気を頬に感じていない。
当駅で、ここ札幌市に住む親戚(どういうつながりかはよく分からないが。)と合流した。
言い忘れていたが、この旅はこの親戚のおじさんを頼ってのものであり、この人が二日間に渡って色々なところを案内してくれるのだそうだ。
私の性格、特に旅人としての性格をよくご存知の人ならば、この時点で嫌な予感がすることだろうが、ここでは省略して旅行記を先に進める。

祖父母は親戚宅、私と姉は市内のホテルに宿泊(宿代はやはり祖父母持ち。敵わねえ。)するので、一旦ホテルに荷物を預けて、私達一行が早速向かったのは、大通公園で開かれているさっぽろ雪まつりのメイン会場である。
おそらく当旅行最大の目的がこのさっぽろ雪まつりだっただろう私は違ったけど。
でもこの祭りは子供の頃からテレビの液晶で様子を見ることしかできなかったので、私も当然楽しみにしていた。

すすきのにあるホテルから大通公園までは歩いたが、札幌市は開拓されてできた比較的新しい街であることもあり、街のつくりが京都市のように格子状になっていて分かりやすく地図も頭に入りやすい。

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今では珍しい路面電車も通っていて、街を東西に走っている。

それにしても、

(^q^)く北海道寒すぎだろおえうえーーーるえうおおおwwwwwwwwwwwwwwww

寒さ対策で超厚着してきたけど、寒い。
指先や前頭葉が凍るかと思った。
出発前夜に参照した気象情報ではこの日の最低気温は-11℃、最高気温でも-4℃と、雪国に生まれ育った私にも体験したことのない領域に踏み込んでいる。
やはり色々と“試される大地”なんだと体を縮こませながら歩く道中でしみじみと実感した。

やがて雪まつりのメイン会場に到着である。
人気のあるイベント、かつ土日効果もあってかすでに大勢の人が詰めかけていて、なんだかヤになる。
大通公園はテレビ塔のふもとの1丁目から12丁目まで東西に長く伸びているが、混雑緩和のために東→西及び西→東に行く際にはそれぞれ一方通行となるように規制されてあって煩い。
だが、人がゴミのようにいる中を歩かなくてはいけないことを除けば、迫力の雪像を目の当たりにして圧巻だった。
昼間から飲む地酒の熱燗もまた格別というもの。


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大雪像の造型は当然だが、雪像の後壁も中々の見物である。見よこの圧迫感!

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私も大好きなポンキッキーズの像もあって、結構こういうのは嬉しい。

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ポンキッキーズと言ったら、会場の規制用のフェンスはなんとガチャピンのデザイン。最近、こういうのも凝ってるけど、これは初めて見つけた。

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各雪像の前方はステージのようになっていて、様々なイベントが開かれている。
ゆっくり静かに見たい派の私としては目障り耳障り以外の何物でもないが、まつりなのだからこういう催物はあって然るべきだろう。
他のイベントとしては、特設のジャンプ台でスキーのモーグルセッショントヨタビッグエアーのスキー版と言えば分かってくれるだろうか?。)等が披露されたりして、これは私も少し見たが、バックフリップや3D技が次々繰り出されて面白かった。
また夜間イベントのメインであろう、雪像に映すプロジェクションマッピング・ショーは、時間の関係でちらりとも見ることができなかったのでこれは大いに残念である。



さて、札幌市ではずっと雪まつり見物していたわけではなく、少し会場を抜け出して足を運んでみたのは、北海道庁旧本庁舎、通称「赤れんが庁舎」である。

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実は私の希望だったりする。やはり時代物の洋館好きが発症してしまったのだ。
それにこの建物は平沢進の曲のPVにちらっと映るのだ。ちょっとした聖地巡礼である。

それがこちら。「TOWN-0 PHASE-5」(2:42あたりに登場)






通称の通り、赤れんがの外観が美しい。
特徴的なドーム。

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裏に回って後ろ姿を見ても、瀟洒で洗練されている。
こっちの見姿を評価する人もいそうである。

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側方から見たドーム。五茫星の意匠が目につく。

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建物内部には展示室が設けられている。
白状してしまうと、私は北海道の歴史は全くの不勉強で、ここに所蔵されてある資料の価値はよく分かっていないが、
各部屋の洋風のデザインの当時と変わらぬ佇まいは、その芳醇な風味を堪能することができたと思っている。

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さて、そろそろこの日の災難について触れてもよい頃合いだろう。
先述したように、今回の旅行は祖父母・姉に同行し、市内では親戚に案内の受けるという形式をとったが、
たぶん旅人の読者がいたら私の気持ちを分かってくれることと思うのだが、私は旅行においては自由に動き回りたい側に属していて、基本、案内などは不要なのだ。
そもそも私は旅に出る前に、目的地の案内書を熟読し、大体の地理関係や交通網を大方把握してからいざ出発とするのが通例であり、あまり人から教わることはない。(案内書に書いてあるようなことは、という意味。)
旅というのを抜きにしても、自分の行動を変に制約されるのが嫌いなのだ。先にこう言った方が分かりやすかったかもしれない。
それだから、この日もガイドを甘んじて受け、ひとりでに踊る旅心をひたすら宥めて抑えて言いたいことも言えずにずっと過ごして辛い思いをしていた。
旅費を出してもらってる立場なので、わがままを言うのは本来よくない行動なのだが、それも含めてこちらはこちらで気を遣うことが多く、次第に頭が痛くなってきた。
旅の疲れもあっただろうが、おそらくストレス等からくる神経的なものだと思う。
私はストレスへの耐性は人一倍持っている(そうでないとやっていけない。)つもりだが、時たま、許容限度量を超え堰を切ったように頭がズキズキと締め付けられるように激しく痛むことがある。
たぶんこの日のもそれで、自分で思っていたよりも、鬱憤がストレス過重となっていたみたいである。
そのまま夜まで続き、おじさんが行きつけの居酒屋に用意してくれた北海道の海の幸尽くしの御馳走も全く手がつけられず、見てるだけで吐き気がしてくるという始末だったので、豪勢な刺身盛りや毛ガニにやきんきの鍋が目の前にあるのに、ずっと眼をつむり辛抱していた。
普段は平気の酔っ払いの馬鹿騒ぎの声や手拍子が脳髄にガンガンと響き、これは普段から嫌っているタバコの煙が容赦なく血管を締め付けるようで、まるで生きている心地がしなかった。
祖父母やおじさんにもいらぬ気遣いをさせてしまい、本当に縄があったら頸をくくりたい気持ちだった。
それでもなんとか店を出て、ホテルに戻って来るとだいぶ楽になった。
外の冷たい空気を吸っていた方が気持ちがよかったので、部屋に戻る前に、姉とすすきので開催されている氷の彫像の祭典を見物することにした。
調子の良いことを言っているが、ホテルに至ったら本当に驚くように痛みが引いてきたのであるから信じてほしい。

きっと眠らない街・すすきの。
この一角だけで新潟無機終焉都市では太刀打ちできないことを知る。

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氷の白州
北海道なんだからそこは余市でしょ~う!とは思う。

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それにしても、すすきのの活気はよかった。
寒いなかでも夜までわいわいする人間がいるというのは景気がいいことだ。


ホテルの部屋に戻ったあとは特に何もせずに、明日に備えてゆっくりするに努めた。
一時は親戚の家に泊まる案が浮上していたのだが、ホテルでひとりになる時間がなかったら、きっと私は発狂していただろう。
たった半日そこらで、自分の“ひとり”への執着度を見、これが思ったよりも深みにはまっていることを意識させられた。あまりよい傾向でないのは自分でも分かっている。
夜が明けたら小樽に行く予定だった。小樽は私がいちばん楽しみにしていたところだ。
この日のような散々な事態は繰り返したくないので、明日は体調が悪くならないといいなと願いながら就寝した。


二、小樽

昨夜は結構疲れていたことや、ベッドが大きくて手足を思いっきり伸ばすことができたことからか、珍しくすんなりと寝付くことができた。
丑三つ時に一度目が覚めたが、すぐさま二度寝に落ちたので、問題なく静養は十分にとれただろう。
北海道旅行二日目の本格的な起床は午前五時三十分。
この日は早くから小樽に出る予定だったので、朝食を摂ったりその他諸々の朝の営みをする時間を考えてこのようにいつもよりも早起きをした。

にしても高級なホテルはやっぱりいい。
私は田舎生まれの貧乏人には違いないが、貧乏趣味は持ち合わせていなく生意気にもリッチなホテルの方が好みときている。
やれカプセルホテルだのビジネスホテルだのを利用することが多いのだが、予算さえあったらグレードの高いホテルに滞在したい向きなのだ。
朝食のビュッフェもメニューが多数あり、至福であった。たぶんバイキングという形式も好きなんだろうな。
しかし、料理がたくさんあるというのに、いつものようなラインナップになってしまうのはどうしてだろうな。
昨日の“ひとり禁断症状”のこともあり、さっぽろ雪まつりの混雑中にいいホテルを取ってくれた家族には感謝の気持ちでいっぱいである。


例の親戚が地下鉄東西線宮の沢駅で私達をピックアップするということだったので、すすきの駅から地下鉄南北線東西線を乗り継ぎ件の駅に降り、すぐさま合流。
今日はおじさんが車で小樽に連れてってくれる。
先のレポートで、案内がどうのこうのということを言ったが、私でもこういう心尽くしは素直に嬉しく思う。
札幌から小樽までは高速道路で30分ほど。
このことは調べていたのですでに知っていたが、その際、自分が思っていた以上に二市間の距離が近いということに軽く驚いた憶えがある。

当地に到着してまずは街並みを車で一周。
車窓と手元の地図を見比べながら行くと、だいたいの位置関係が分かった。
早朝でまだ観光バスなども来ていなく、車通りや人通りもまばらということで、道端に車を止めてまず見物したのは、日本銀行旧小樽支店金融資料館

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これはおじさんの受け売りなのだが、日本銀行の支店があるところを見て察せられるとおり、古くは札幌などよりも小樽の方が発展していたんだそうな。
しかし切り立った崖の近くにある街ということでもう拡げる土地もなくなったため、かつてこの街が担っていた機能や新たな開発口を陸に陸にと求めていったらしい。

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早朝だったので内部には入らず外から眺めていただけ。
時代物の建物だが、外壁が修繕されていてなんだか味がない。
小樽といえば小樽軟石というものが有名で、これを使った建物が街の至る所で見られ、その独特の風合いを目で楽しむことができるが、この旧支店にはそういうものがない。
まあ、昔ながらのデザインで、時代に思いを馳せることは辛うじてできそうではある。

このすぐ近くに、私が気になっていたスポットがあったので、少し様子を見てみた。
手宮線跡地

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運河に気を惹かれがちな小樽観光において、ここは比較的マイナーな名所だろうと踏んでいるが、私はこれを愛しのことりっぷで知った。
公式の案内がないのでここではことりっぷの説明を参照するが、手宮線というのは旧国鉄が運営していた小樽市内の手宮から三笠市の幌内までを結ぶもので、北海道最古の線路であり、国内でも三番目の古さというのだからその歴史はダテではない。
しかし、昭和60年に廃線となり、現在はその名残として線路が残され自由に散歩することができるということだった。
私が訪れたのは真冬も真冬という時期だったので、線路は雪で埋まっているのだが、

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上図のように、トンネルが掘られ、線路も地上に顔を出しており、無事にお目にかけることができる。
雪のトンネルを走る線路というのも、なんだか創作の世界にいるようで、上を渡っていると不思議な気分だった。
春先や初夏でも気持ちよさそうだった。秋も味があっていいかもしれない。
違う季節にも訪れたい感じだった。

それにしても朝早い時間ということが理由だろうが、小樽の街並みは静かでいい。
昨日は人ゴミで大変だったので、その思いもひとしおだった。



私達一行は、一度小樽の中心街を出て、一路祝津に行き場を求めた。
どうしてか今日は私の意向を優先してくれるとのことで、時代物の建造物の中でも邸宅が好きな私は、この集落にあるにしん御殿小樽貴賓館(旧青山別邸)を希望したのだ。

しかし、目的地まで少し迷い、なぜかノイシュロスという崖の上のホテルに至ってしまった。
実を言うと、私は地図を見ていたので御殿までの道のりが分かっていて、どこでどう間違ってホテルに着いたのか、一から十まで理解していたのだが、ちょっと気を遣ってしまい、いつどうやって真実を告げようか機をはかっていたのである。
だが、このエラーのおかげでいわゆる祝津パノラマ展望台というビューポイントに寄ることができた。
この大パノラマを見よ!

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見渡す限りの北の日本海、270°のオーシャンビューだ。
読者諸君には祝津の場所を調べてもらいたいが、海の向こうに見ゆる陸地も北海道なのである。


さて、なんやかんやで御殿の正しい場所を告げ、やっと希望の貴賓館に到着である。
庭に雪が積っていたので、別邸の全体像を写すことは困難であった。
旧青山別邸は、小樽の有名なニシン漁で繁栄した網元の青山家の別荘である。
ちなみに本邸は“北海の漁業王”青山留吉の生まれ故郷山形県遊佐町にあるらしい。
別邸に入るにはまず併設されてある貴賓館という施設に入って入館料を払う必要があるが、
この貴賓館に入ってすぐのホール天井がまた壮麗。

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なんということでしょう。
天井には花の絵が貼りつめられているではありませんか。
これは別邸とは違って新しく、たしか平成16年に北海道の画家たちが描いたものだという。
圧倒される綺麗さだった。
肝心の邸内は写真撮影が許可されていないが、主に和風のつくりである。
襖絵や家具に当時の豪勢な暮らしが、欄干の意匠や柱の塗りには棟梁たちの苦心の跡が窺える。
たも状の階段は必見ですヨ。
主に日本式の邸内には小さな洋間もあり、これまで見て来た百畳敷の広間や、うぐいす床とのギャップに興味を覚える。
私は洋館が好きな人間だが、本当に異国にある洋館はたぶん見向きはしないだろう。
日本のなかにあるからこそ洋館の魅力は映えるのだ。
つまり和洋折衷というものが好きなので、この豪邸の和風な中にちょこんと佇む小さな洋室は特によかった。
あまりにも邸宅内部の設計が気に入ったので、売店で写真集を購入してしまった。
また別邸は見事な庭園造りにも評価が高く、牡丹やアジサイなど、季節によっていろんな花を目にすることができるという。
先の手宮線のこともあるが、ここも違う季節に訪ねてもよさそうだ。
祖父母や姉、さらにはおじさんにもこのスポットはよかったみたいだった。


物寂しい冬の祝津をあとにした私達は、再び小樽の観光の中心へと戻ってきた。
今度は運河沿いに街を歩くことになった。
小樽を象徴する風景・小樽運河

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ノスタルジックな光景に、ことりっぷや各案内書を見ていたときから虜になっていたのだ。
冬の雪景色も中々いいものだ。

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日が落ちてからはライトアップもするそうで、観光パンフレットでその様子を見てみたが、白い雪の演出で、かなりロマンチックに仕上がるみたいだった。今回は断念したが、また来た時には是非見ておきたいと思った。
雪まつりにしろ、運河のナイトビューにしろ、北海道の観光地は雪を利用するのがうまい!
雪が積もっていて寒い冬の季節にもお客を呼べるというのは大きな強みだろうな。

運河沿いの小道を歩けば、時代を忘れたような心持に至る。例の二重廻しを着てればさらに気取ることができただろう。
向こうの石造りの倉庫はレストランなど、また新しい使われ方をされているみたいである。
冬もいい風情だったが、これまた秋口辺りもよさそうな雰囲気である。
これは新潟ー小樽のフェリーで再び小樽旅行待ったなしか!?

その後は有名な硝子屋を覗いたり、倉庫を利用した回転寿司屋でランチと洒落こんだ。
寿司屋はチェーン店で、たしか新潟無機終焉都市にも店舗があったことと思うが、地域によってお品書きは違ってくるのか楽しみにしていたが、予想以上だった。
北海道は強い。
小樽特産のニシンの握りはネタの上にちょこんとのったしょうがと小葱が味を引き立て、珍魚八角は驚くほどの脂のノリ。
きんき活たこもまた美味であり、季節ものの真たちの白子のポン酢軍艦や天ぷら軍艦もとろけるほどに甘く、とろサーモンも口の中で溶け、生かきホタテは大粒、豊かな風味。
昨夜の雪辱とばかりに北海の幸を堪能することができ、至福の時間だった。
その土地の料理は旅の醍醐味のひとつ。


素敵な時間を小樽で過ごし、一同は一日ぶりに新千歳空港に戻ってきた。もう帰宅の途につくような時間なのである。
離陸の時間まではそれぞれ土産を買ったりと思い思いに過ごした。
すると空港内の広場で、初音ミク関連のイベントが開かれていたのですこし冷やかしてみた。

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雪ミク」というのは、初音女史が冬の北海道を応援するときの姿なのだそうだ。
そういえば昨日の雪まつりの売店でのこのデザインの初音女史のグッズが売られていて、私は気がつけばぬいぐるみストラップを購入していたのだった。気がつけば。
私はもちろん初音女史のことは存知あげている。キャラクターデザインとしては案外気に入っている。
しかしボーカロイドマスターではなく、そもそもボーカロイドの血の気の失せたような歌は全然聴かない。
だから最近のボカロ人気は全くついていけない。
だから好きなのはあくまでもデザインだけということになる。

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イベントホールでは、デザインを担当するKEI先生のサイン会が開かれ、野次馬根性から少し興味を覚えたので、追加のグッズ購入も辞さない覚悟で係員に詳細を訊ねてみたが、曰く特定のCDの購入者特典のチケットがなきゃいけないそうで、私は煩わしさからサインをもらうのは断念。
空港内にはなぜかアニメイトも入っていて、そこで買えばよかったのだが、そこまではする気は起きず、代わりに喫茶店で評判のよつ葉ソフトクリームを食べることにした。ああ、おいし。


そしてついに訪れる旅の終わり。
秋田行きの祖父母・姉と別れ、おじさんと別れ、搭乗する。
おじさんとは当初はだいぶ気まずかったが、二日目ともなると少しは打ち解けたようになった。
たぶん一対一で話すのは平気なのだ。集団の中で一対一で話すのが苦手なのだ。
大雪の影響でほとんどの路線が出発遅延となっていて、なかには一時間以上の遅れが出ている便や、すでに欠航となった便もあったのだが、我らが新潟行きのものはなんとわずか10分遅れと、日々吹雪と向き合う者たちの意地を見た気がした。

すでに暮れかけている千歳の空。
滑走路へと進む機内の窓から、ずらりと縦に並んで続く除雪車のパレードを見た。
薄暗い中、風雪の白いぼかしの向こうに見える橙色の電灯を灯す車のキャラバン。
自分が今見ているものが現実でないような幻想的な光景だった。
昨日だったか、祖母が北海道に来れたことを「夢みたい。」と言っていたが、
確かに、あっと言う間に来てあっと言う間に行く北海道旅行は、本当に夢みたいだったなあと、北海道での最後の光景を目に焼きつけながら思ったのだった。


昼間の往便と場合と異なり、窓から見えるのは夜の暗闇であることがほとんどである。
たまに街の明かりが見えてくるが、空中から眺める夜景というのは小さな街のそれでもキレイなんだと知った。
読書をしていたら、あっと言う間に新潟に着陸するというアナウンスが流れた。
どれどれと窓の外を見てみたら、そこには新潟の夜景が映っていた。
私は驚いてしまった。
常日頃から「無機終焉都市」と言って憚らない新潟市が、こんなにもエレクトリカルな表情を見せるなんて!
キラキラとした明りが広がっていて、それはそれはキレイだった。
この中には、自分の生活もあったんだなと考えると、少し感慨の浅からぬものがこみ上げてきた。
なんだか新潟を見直すような気持ちだった。


夜ということで閑散としている新潟空港に降り立ち、
帰りのバスに乗るべく、空港の外に出た私を待っていたのは、


「雨ェ・・・。」










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  1. 2014/02/13(木) 13:34:48|
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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

筆者結語

日常系赤面ブログ「野良犬の生活」を応援していただきありがとうございました

「野良犬の生活」の物語

 はじめましての皆さんへ

長い間ありがとうございました

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