野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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石川雲蝶に会いに行く

 臨床医学実習の山場も乗り越えて、すっかり今年の仕事は終わったような気持ちに陥っている。最近のシリーズも、実習日程の多くを自習時間が占めており、だいぶ気が楽だったということも、この何とも気だるい気分を促進させている。そんな私の週末に、故郷・秋田から両親が新潟無機終焉都市にやって来た。その際、「どこか行きたいところはないか。」と聞かれたので、無機終焉都市から少し距離があるとは知りつつも、前々から訪れてみたいと思っていた、魚沼の赤城山西福寺(せきじょうざんさいふくじ)を希望した。
 西福寺は阿弥陀如来をご本尊とする禅寺であるが、幕末に越後で活躍した名匠・石川雲蝶(いしかわうんちょう)の大作が残されていることで、あまりにも有名である。雲蝶は神業のような作品を数多く残し、“日本のミケランジェロ”とも称され、最近注目を集めるようになった。さらに、今年は雲蝶の生誕二百年ということもあり、新潟県の観光キャンペーンの大きな目玉にもなっているのだ。その雲蝶の終生の大作と呼ばれる彫刻が、この西福寺にあるのだ。
 新潟無機終焉都市から車で一時間少々。高速道を小出で降りて数分、のどかな農村地域の中に、西福寺は建っている。この辺り一帯は日本でも一、二を争う豪雪地域である。かつ、雪下ろしという危険な作業をしてくれる人材がいないという田舎特有の悲しい事情により、防雪のための巨大な屋根が造られており、それに覆われて、慎ましい建物がひとつ佇んでいる、これこそが石川雲蝶の大作を保存している開山堂である。開山堂は上部が入母屋造りの茅葺き二重層の屋根を持つ建物である。これを覆っている巨大な屋根は、魚沼という日本でも有数の豪雪地域こそのもので、いくらかは物珍しいところがあるのだが、しかしこれによって、開山堂が本来有つ、この土地の静かでのどかな風景に溶け込むような風情は、残念ながら大きく損なわれている。お堂正面は唐破風の向拝が造られている。まず、この向拝に雲蝶作の彫刻が施されている。龍や唐獅子、童子や姫などをモチーフとした彫刻は、どれも精巧緻密、それでいて何とも人間味溢れる生き生きとした表情に仕上がっていて、大変に見応えがある。
 江戸の幕末一八五七年に建てられた開山堂は、内外に施された雲蝶の作品群が、日光東照宮にも劣らないほど素晴らしいものであるということから、「越後日光」とも呼ばれている。本堂を経由するように、薄暗い堂内に入り、天井や四方の壁を目にした瞬間、その異様な光景に、思わず息を飲んで言葉も出ない。それは、まるで仏教芸術の集大成に全身を包まれるような体験である。
 まず目を見張るのが、三間四方のお堂の天井一面に施された大彫刻「道元禅師猛虎調伏の図」であろう。私の思う“彫刻”のスケールを遥かに超えている雲蝶終生の大作である。道元禅師の物語の一場面を、岩絵の具で塗り上げた透かし彫りで表現しているのだが、この鮮やかな色彩は、幕末の施工当時のまま今まで色褪せることなく残っている。睨み合う龍虎や道元禅師の涼しげな表情など、まるで彫刻が命を宿しているような迫力があり、天井が低くなっていることもあって、作品が真上から迫ってくるような錯覚に陥る。雲蝶の遊び心か、小動物が所々に散りばめられていて、緻密な仕事ぶりに感嘆しながらも、決して見飽きることはない。
 お堂を囲む壁や欄間、欄間上にも数多くの透かし彫りや、絵画、さらには漆喰細工までもが施されており、彫刻だけに留まらない雲蝶の技術の高さが窺える。どれも精巧でいて、時折ユーモラスな表情も見せ、何とも趣深い仕上がりである。何より、これほどの作品をひとりで創り上げた、石川雲蝶という職人の仕事に懸ける意気や、鬼気迫る仕事姿が伝わってきて、心が震えるのだ。日本の芸術や文化は、仏教信仰がルーツとなっている。だから、すっかり信仰は縮小してしまっている現代でも、仏教芸術は私たち日本人にいくらかは訴えかけるものがあるのだと思うが、この西福寺開山堂は、その仏教芸術最高峰の技が施されており、仏道を追求する者の熱意や一途な心、そして信仰に裏打ちされた“生”の力強さが四方から迫ってくる。時も忘れ、じっと眺めているだけで、身体中にエネルギーが満ちていくのを感じた。
 西福寺には、本堂の襖絵や障子戸など、見応えのある雲蝶作品が数多く保存されている。信仰の有無に関わらず、生涯に一度は出会う価値のある体験だと思った。


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  1. 2014/11/09(日) 17:15:08|
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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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