野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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「一生に一度はお伊勢参り」(伊勢名物赤福の旅)

 春休みの序盤に計画したクラスメイトとの旅行は、鉄道旅行としての面が強かったが、一つメインの地名を挙げて言い表すとなると、あれは、伊勢を巡る旅であったということになりそうだ。伊勢神宮の外宮(げくう)内宮(ないくう)の参拝を主要の目的として、その他諸々を含め、伊勢の街を堪能するような旅行だった。
 旅のはじまりは近鉄伊勢市駅。正午を過ぎての到着である。伊勢神宮の二つの正宮・外宮と内宮の参拝が私たちの大きな目的であったが、色々な都合から、まずは駅からほど近い外宮から詣でることに。ちなみに、この時の私たちは何も知らなかったが、古代から外宮、内宮の順で参拝をするのが正式なんだそうだ。あ~よかった。
 駅から外宮まで真っ直ぐのびる外宮参道は、思ったよりも新しい店が多く並んでいて、さっぱりと垢抜けている。そして時折、重厚な歴史を感じさせる面構えのお店が建っているというような印象だった。参道の終わりが見え、代わりに正面に外宮が広がり始めるというところに、赤福の外宮前特設店がある。そう!伊勢といえば、神宮とこの名物餅・赤福である。赤福本店は内宮の参道にあるのだが、このようにフラッグショップも開店しているみたいである。しかし、ここはまず参拝をしに行ってからということで、何事もなく店の前を通り過ぎるに至った。
 おしゃれな店で賑わう参道を抜ければ、目の前に広がるのは外宮の森である。表参道の火除橋を渡れば、そこはいよいよ外宮の神域だ。第一鳥居、第二鳥居と参道を進むが、周囲には無数の木々が生い茂っていて、ますます森のイメージが強くなる。神楽殿を過ぎる頃になると、大きな神杉も並ぶようになって厳かさが増してくる。伊勢神宮では二十年に一度、神殿を新しく作って、そこに祀られている神様に引っ越しをしていただく、「式年遷宮」という大祭が行われるが、二〇一三年の十月に遷宮を行ったため、御正宮はとても新しい見た目となっている。御正宮に限らず、どの神殿でもそうだが、引っ越しの跡は古殿地と呼ばれ、小さな社(覆屋というらしい)が建っていて、次の遷宮の時を静かに待っている。外宮には豊受大神(とようけのおおかみ)という神様が祀られている。豊受大神は天照大神の食事を司っていて、衣食住をはじめとする産業の守り神である。御正宮はとても広大であり、何重もの垣に囲まれているのを眺めていると、たとえ詳しい由緒などを知らなくても、誰でも清廉な心境になりそうだ。外宮には、形が亀に似ている、その名も亀石(そのまんまですね)で池を渡った先に、多賀宮、土宮、風宮という三つの別宮がある。石段の上った先にある多賀宮をはじめ、どれもさらに森深いところに佇んでいて、周囲には異様な静けさが漂っている。正宮のように、別宮も一定の頻度で遷宮をするらしく、新しい風宮がまさにいま作られているところであった。
 外宮をお参りして、待望の赤福に立ち寄る。お店ではお土産用の赤福を購入することはもちろん、「盆」という、赤福餅三個とほうじ茶のセットをいただくことができる。私たちも迷わず「盆」を注文する。これまでお土産に赤福をもらって食べることはあったが、こうして地元で食べるのは初めてで、これには感慨の浅からぬものがある。今まで食べた赤福は、食べる頃には餡も餅も固まってお互い分離してしまってしまう(それでもおいしかった)が、伊勢で食べる赤福は、餡と餅にしっかりと引っ付いて離れない。餅のもちもち感も凄まじく、これなら喉に詰まらせて窒息してもおかしくない。かつ、噛み切ることができずないで、結局一口で食べてしまうのだ。これまで私が食べた赤福よりも桁外れにおいしい。これが、赤福の真の姿・・・・。
 続いて内宮へと近づくべく、電車に揺られて近鉄五十鈴川駅に降りたった。この日の宿舎も内宮の近くにあるため、駅からバスに乗ってそちらの方面へと向かうのだが、次のバスまで時間もあるため、私のわがままで、とある場所に寄り道をすることになった。伊勢の古市はかつての歓楽街であり、江戸時代には吉原、島原とともに三大遊郭に数えられるほどの賑わいを見せていた地区である。そのうち、今も営業を続けている老舗宿・麻吉旅館のある一角は、当時の名残をとどめていると聞きつけ、この度の伊勢旅行でも是非訪れてみたいと思っていたのだ。五十鈴川駅から住宅街を歩いて十数分ほど、伊勢自動車道沿いの歩道から一本入ればすぐのところに、唐突にそれはあった。『なんだこれは!?』石段に合わせて、多層的に入り組むように建てられている麻吉旅館。これまで各地の昔町や昔ながらの通りは何度か訪ねたことがあるが、それらを遥かに凌駕するタイムスリップ感。かつての歓楽街というが、なぜかほのかに醸される、つげ義春作品に出てきそうな怪しげな場末感。これは、すごい。先の神宮とは全く違う種類の感動を抱いた。これは、ホントに、すごい。この一角は、地域の小中高生の通学路になっているらしく、私たちが立ちつくしている脇を、何人かの学童が通り過ぎて行った。不審者か何かに思われていないか心配である。
 駅に戻り、バスに乗って内宮方向を目指した。とはいえ、時間的にこれから内宮に参拝をするのは難しそうだったため、その目的は明日の早朝にとっておいて、この日は辺りを散策するに留めることにした。まず、本日の宿に寄ってチェックインをすます。この宿は内宮からいちばん近い立地の好さと、宿泊費の安さ、あとはひとり一部屋という条件が決め手となって選んだ。部屋に荷物を置いて身軽になってから、宿舎から通りを挟んですぐのおかげ横丁にやってきた。おかげ横丁は内宮門前町のちょうど真ん中にあり、お土産屋や飲食店が立ち並んでいて人気のスポットである。しかし、この時点で夕方のいい時間であったためか、横丁の店はほとんどが店じまいを始めていて、祭りのあとのようになんとも活気がなかった。
そんな中、いまだに店を開けているのは、我らが赤福の本店である!新橋の袂に建っている赤福本店は、先ほどの外宮店とは比べものにならないどっしりとした貫禄で、通りを行く人たちの視線を奪う。この伊勢において、「赤福」の二文字は絶対的なパワーがあるのだと感じた。もちろん本店にもお邪魔し、例の「盆」をいただくことにする。さっきも同じものを食べたのだが、歴史ある本店で味わうとなると、やはり気分の高まりが違う。
 この時点で午後六時過ぎ。時間的に、そろそろ夕食も摂りたいところだったが、先述のようにおかげ横丁の店はすでに営業を終えている。旧参宮街道であるおはらい町通りを歩いてみても、やっている店は信じられないほどに見つからない。これは他の観光地でのことを考えると、非常に驚くべき事態であるが、神域に続く町が夜遅くまでわいわいがやがやと賑やかだというのも少し嫌なので、これはこれで清潔でいいかもしれない。やっとのことで見つけた食堂に入り、伊勢湾の特産の一つであるカキを使ったカキフライ定食に舌鼓を打った。運のいいことに、おはらい町通りにはコンビニエンスストアもあって、実に救われた気持ちになったのだが、他の歴史的地域のそれのように、門前町の調和を保つような外見になっている。このあたりで雨が降り始めたので、寝静まったかのようにひっそりとしているおかげ横丁を急ぎ足で通って、宿に戻った。クラスメイトはアルコオル類を嗜まない性質なので、その後は特に酒宴などは開かず(私はコンビニで購入した地ビイルを飲んでいたが)、翌日の計画を確認して、各自入浴、就寝の運びとなった。実はこの時、個人的に今後の進退に関わる心理労働があって、色々とやらなきゃいけない作業もあったりしていて、全く気が気でなかったのだが、明朝は早くから内宮の参拝に向かう予定だったので、雑務が一段落してから、なんとか気持ちを落ち着かせて床についた。
 翌午前四時半、起床。簡単に準備を済ませて、五時頃に内宮に向けて宿を出発した。外はまだ夜のように真っ暗である。ふと空を見上げてみると、星がキレイだった。そんな中、すでに店を開けているのは、我らが赤福本店である!昨日は見れなかったが、この時間からだと店内で実際に赤福を作っている工程を見学することができる。二人一組で、餅をこねる人、餡と絡める人というように分担して赤福餅を作り上げていた。赤福の、あの特徴的な線条も手作業の産物だったのだな。参拝へのエネルギー補給として、再び「盆」をいただく。起床後の低血糖に、赤福の甘みは沁みた。
 まだ寝静まったままのおはらい町通りを歩き、ついに内宮に辿りついた。まだ日は昇らず辺りは真っ暗だが、その暗闇の中、宇治橋の手前に立つ鳥居がライトアップされており、その光景の異様さに気持ちが緊張していく。宇治橋は私たちの住む世界と神様のすむ世界のかけ橋であり、渡りきったところから内宮の神域に入る。広大な参道はやはりまだ暗いままで、道沿いに灯る灯篭を頼りに前へ、前へと進む。第一鳥居をくぐった先に、五十鈴川に下りる石段があった。川の音だけが聞こえる中、夜明け前の薄闇を走る五十鈴川の流れを眺める。光の粒がまかれた日中の川もキレイだが、夜の川の姿にも、いくらか恐怖感の伴う、得体の知れない魅力があると思う。神楽殿を横目に見て、案内の看板を探しながら歩き続けると、ついに御正宮との対面を果たした。伊勢神宮の内宮は正式には皇大神宮と呼ばれ、日本人の大御祖神である天照大神を祀っている。御正宮も薄闇の中、照明に照らされて石段の上に建っている。外宮の御正宮と同じく、垣で何重にも囲まれていて、この領域の神聖さを物語っているようだった。その後の、御正宮の後方にある荒祭宮や、唯一神明造の御稲御倉などがライトアップされている光景は、おそらく夜明け前に参拝した人じゃなきゃ見れないものだろう。観光案内に載っているものとは一味違った内宮体験をすることができたように感じた。
 再び神楽殿に戻ってきて、子安神社に参拝する頃になると、空はだんだんと明るみを帯びてくる。私たちは、神域で夜明けを迎えたのだ。この朝はいつもとちょっと違う特別な朝。色づき始めた空の下、先ほどと違って輪郭を有つ宇治橋を渡って、神域から私たちの住む世界へと戻った。


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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

筆者結語

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