野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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会津磐梯曇天旅日記

 なし崩し的に購入した青春18きっぷが、あと一回分残っていたというのに、無慈悲にも春休みは終わり、ついに新年度を迎えてしまった。すでに使った四回の時点で、大いに元は取れているのだが、経済の問題ではなく、なんとなく全回を使い切らないと収まらないのだ。また、次の土日には、切符の有効期限が切れてしまう。そのため、最後の一回を利用するには、平日のどこか一日を潰さなければいけない。幸い、新学年が始まってしばらくは、一日くらいドガチャカしてもなんら差し支えがなさそうであった。クラスメイトの協力のもと、出かける日にちがすんなりと決まった。問題は行き先である。
 新潟無機終焉都市から日帰りで行けて、それなりに趣のあるところとして、磐越西線に乗っての会津磐梯行きを思いついた。磐越西線には何回か乗っているし、会津若松もだいぶ見て回った観があるが、今度は会津若松よりもちょっと奥、磐梯山のすそ野に広がる猪苗代湖に気を魅かれたのだ。それに、猪苗代湖畔にも洋館があるという話である。

 朝の新潟駅から磐越西線に乗り会津若松へ。そして今度は郡山行に乗り換えて、猪苗代駅を目指す。春休みのシーズンも終わり、新生活が始まってばかりの平日真っただ中。そんな中、電車内でいかにもな旅行者風情を醸しているのは、おそらく私くらいであっただろう。すさまじい解放感である。また、車窓からは何羽もキジを見かけたが、最近私はよくキジに出会う。これは何かの前兆だろうか。
 猪苗代駅に着いたが、以前、通り過ぎたときと少し様子が違う。というのも、デスティネーション・キャンペーンに合わせてだろうか、駅は新しく改装されていたのである。昔あったレトロな観光案内の看板も撤去されている。リニューアルして、キレイになるのは確かにいいことだが、以前はあった在りし日の“味”というものがなくなり、少しも面白みのない駅になってしまったと思う。概して、清潔なものはつまらないものだ。
 目的の場所へはバスで行く予定だったが、その時刻までかなり時間がある。その間に、少し時間の早い昼食でも摂ろうと、駅前の通りに出たが、驚くほどに閑散としていて、少し不安になる。猪苗代は人気の観光地であるが、それはリゾート地として、湖水浴の楽しめる夏季と、スキーに興じれる冬季に限った話である。冬と春の間の、まさしくこの日のような期間は大したレジャーがなく、おそらく一年を通じて最も人の集まらない時期に違いない。事実、この駅前の人気のなさを見よ!灰色の空の下、寂れた土産屋を見よ!タクシー運転手の意気消沈の顔を見よ!
 こんなんだから、果たして食事のできるところはあるのか心配ではあったが、幸いに駅の真ん前に土産屋も兼ねた食堂があり、店前ののぼりには「ソースカツ丼」などと書かれている。ソースカツ丼・・・・ごくり。そういえば、今まで何度も福島に旅行に来てはいるものの、当地のグルメ・ソースカツ丼は一度も口にしたことはなかった。せっかくだし、ここいらで、ミーちゃんハーちゃん心をぶらさげて、食べてみようか。明るくない電灯が点いた店内に入ると、やはり人気はなく、シンとしている。私の他にひとりのお客があった。色々と魅力的なメニュウはあったが、初心にならってソースカツ丼と食後のコーヒーを注文した。店で流されているTV様をただ呆けて眺めたり(内容は少しも頭に入ってこない。これが正しきTV様の鑑賞法)、これからの旅程を考えたりしているうちに、テーブルに運ばれてきた、名物・ソースカツ丼。カツ丼といえば卵でとじてあるのが一般的だが、ここではその名の通り、カツには甘じょっぱいソースがたっぷりと塗られている。カツの下には千切りキャベツが敷き詰められ、ソースも沁み込んでいる。早くもおいしそうではないか。ソースはそれほどしょっぱみが強くなく、思ったよりも軽い口当たりだ。カツはサクサク感はわずかに残しつつ、どちらかというとしんなりと柔らかめで、噛み切りやすい。カツといっしょに白飯とキャベツをかき込む。うん!これはいい!ご当地グルメにしては、正統派においしい。気がつけば正午を回り、店内には他の客もちらほらと入っていた。地元の住人であろう、つなぎや作業服の中年ばかり。やはり観光客はいないのだな。すると、この他の客たちは、あろうことかタバコを吸い始めたではないか!なるほど、ここは喫煙可だったのか。私は大の嫌煙家である。タバコの煙に当たると、途端に咳込んでしまうし、頭痛も痛くなってきて、参ってしまうのだ。食後のコーヒーをキャンセルし、急いで残りの分を口に入れる。本当はもっとゆっくりしたかったのだが仕方がない。すぐさま会計に臨む。
 食後であっても、まだまだ例のバスまでにはだいぶ時間がある。なんだか、この黙って待っている時間がもったいなく思えてきた。いっそのことタクシーを使っちゃおうかしらなどと思いついてすぐに行動に移してしまうのは、数年前の私だったら少し考えられない。これまでの旅の経験が、私を臨機応変の人に変えてしまったのだ。タクシーに乗り込み、行き先を告げる。大した距離じゃないだろうとタカをくくっていたその時の自分を、今は罰したい気分である。走り始めてから運転手さんが話しかけてきたが、今回は身構えていたので、冷静に対処ができた。猪苗代の季節の移り変わりについて、自然について、諸々のことを教えてくれたが、随所で繰り返すのは、「いまは観光のシーズンじゃない。」ということ。まあ、そうだろうとは思っていたが、そんなに繰り返し言わなくてもいいんじゃないかな。だが、この時の私は、正直、運転手さんの話よりも、どんどん上がっていくメーターの運賃の方が気がかりであった。あれ?なんか、やけにメーターの上がりが早くはないですかね?そんなに走ってましたかね・・・・?結局、予想していたよりも圧倒的に運賃がかかり、一気に財布が軽くなってしまった。旅先でのタクシーの利用は慎重に行うべきだという教訓を得た。
 磐梯山と猪苗代を望む小高い山にひっそり佇む瀟洒な洋館、その名も「天鏡閣」にやってきた。明治四十年に猪苗代湖畔を巡遊した有栖川宮威仁親王が、当地の風光明媚さに魅せられて建設を決めた別邸である。国の重要文化財にも指定されている。まだうっすらと雪の残る山の中、鬱蒼とした木々に囲まれて、優美な純白の邸宅が立っていた。辺りは本当に静か、自分の他には誰もいない。なんだろうこの空気は。
 外観は割と直線的でシンプルなデザイン。とりわけ空高く伸びる八角塔が目立っている。徹底して白を基調とされていて、見た目には上品であり、かつ涼しげでもある。邸宅内に入ると、しっかりと管理人が常駐しているみたいである。入館料を払って、いざ館内の探訪に向かう。食堂、客間、撞球室と順番に巡っていくが、やはり皇室の別邸、贅を極めているのがよく分かる。復元された家具や調度品も、実に豪華絢爛である。それなのに、時おり木のぬくもりを利用したカントリーなところもあったりして、全く油断ができない。こういう洋館だと、関連の資料の展示などもされていることが時おりあるが、天鏡閣ではそのようなものは控えめで、家具の配置など、限りなく当時の姿に近づけようとしているのがいい。この邸宅の見どころは、もっと細かなところである。「天鏡閣」の名の通り、館内には鏡が何面かあるが、その下の暖炉を飾るマントルピースが、どれもいい味わいを出している。また、各部屋の天井から下がるシャンデリアも、一々細部まで凝った造りをしている。緻密な天井飾りにも目を奪われてしまう。静かな山中というロケーション、純白の外観、当時の姿に復元された館内。なんというか、ものすごく見学のしやすい洋館だという感想が湧いた。また、屋外の手洗い処が、レンガや大理石が使われていて、これまた豪華だったので驚いた。皇室関連の建物だから、ここまでに徹底しているのだろうか。
 天鏡閣の山を湖に下りていく。坂道から見えてきたのは、はるか遠くまで広がる猪苗代湖の姿である。この日はあいにくの曇天だったために、爽やかさはないが、どこか冷やかでミステリアスさを帯びている。猪苗代湖は東北一、全国でも四番目に大きな湖である。やっぱりデカい。いつも、海じゃないかと思う。下山をすれば、そこは長浜である。湖水浴やマリンスポーツのメッカであるが、この季節はまだまだ閑散としている。曇り空も相まって、かなり寂しげである。長浜からは猪苗代湖面を軽く一周する遊覧船も出ている。かめ丸とはくちょう丸の二隻が停まっているが、先ほどタクシーの運転手さんから聞いたところによると、観光船はまとまった乗客が集まらないと出港しないらしい。だから結構待たされることもあるのだという。この人気のなさから判断するに、しばらく出港はしなさそうである。タイミングが合えば少し乗ってみたいと思っていたが、今回はおとなしく諦めることにする。かめ丸もはくちょう丸も、写真で見るよりも船体に汚れやキズが目立つ。きっと私が子供だったときやそれ以前から働いているのだろう。愛嬌はあるがどうも垢抜けないかめとはくちょうの表情には、好感がもてる。しばらく湖面を眺めたり、たくさんのカモを観察していたが、それなりに満足して、早くもバスで駅に戻ることに。バス停に行ってみると、危ないことにもうすぐバスが来る時刻であった。この辺りを走るバスの本数はかなり少ない。これを逃せば次は二時間後のバスになるのである。ここでどうやって二時間過ごせというのだ。バスを逃したときのことを考えれば、背筋が薄ら寒くなってくる。バスの車窓から見る猪苗代の街。先日にリニューアルオープンしたばかりの野口英世記念館の周辺は、地ビール館(行きたかった!)やガラス館(小さい頃に家族で訪れたことがある。小さなクジラの置物を買った憶えがある)などもあり、お洒落なカフェーもできていたりして、少しは賑わっていそうだった。はるか彼方には、磐梯山がデーンと聳えている。

 猪苗代から会津若松に戻る。予め考えていた計画よりも、大幅に時間に余裕ができた。これなら、新潟に戻るのもかなり早くなるかもしれない。それじゃあ、どこに行こうか。会津若松は「ハイカラさん」「あかべぇ」という二種類の市内周遊バスがある。それぞれ逆のルートを走っている。それらの詳細(バス停、時刻等)は失念してしまったので、案内を求めに駅の観光案内所に立ち寄るが、そこで見た掲示によって、会津若松のシンボル・鶴ヶ城に行く用事ができてしまった。当初は野口英世青春通りを攻めてみようかと思っていたが、用事ができてしまったのだからしょうがないじゃないか。その用事については、別のレポート(赤面)を参照していただきたい。さて、駅から鶴ヶ城まではハイカラさんに乗る方がいくらか早く着くのだが、その時刻になっても一向にバスが駅に入る気配がない。経験的に知っていたが、この周遊バスは時間に遅れることがかなりある。『またか・・・・。』と嘆息していると、あかべぇがやって来た。ハイカラさんに乗った方が、本来は早いのだが、これを待っていてはいつ乗れるか分かったもんじゃない。今回に関しては、もしかするとあかべぇに乗った方が早く着くような気がしたので、乗車することに。同時に乗った老人のグループが本当に煩かったが、東山温泉で降りてくれた。それにしても、東山温泉か。一度は行ってみたいよなあ・・・・。
 鶴ヶ城に着いた。平日ど真ん中、かつ、時はすでに夕刻。人気の名所といえども、流石にひっそりとしている。この日は閑散とした場所にしか訪れていないような気がする。所望のブツを無事に手に入れたが、それだけで終わるのもなんだか惜しく、入城もすることに。何度も上っているが、「○○したことがある」というくだらないノルマのために、旅行をしているわけではない。チャンスは何度でも活かしていきたい。
 鶴ヶ城は、今年で再建から五十年。それを記念してか、城内の郷土博物館はリニューアルしたばかりであるらしい。一見、あまり変わらないようだが、新しい映像コーナーなど、確かに見たことのないものもあった。だが、やはり展示品はそのままに、レイアウトを変えただけの印象で、それほど大きなリニューアル感はない。というかむしろ、スペースが広くなって、展示の密度が小さくなったような気もする。南走長屋・干飯櫓に至っては完全に以前のまま。前に体験した、やえたんの火縄銃体験コーナーがやっていなかったので、残念であった。協力してくれたクラスメイトへの土産を買い、さくらソフトクリイムを食べて城内を後にする。鶴ヶ城会館はすでに閉館していた。まだ城が開いている時間内はやってくれよ!あかべぇの最終に乗って会津若松駅に戻った。
 結局、新潟に戻る時間は、計画通りにいきそうであった。それならばゆっくりと食事を摂ろうと、前から気になっていた駅構内の食事処に入る。まずはコーヒーを飲んでほっと一息つく。おもむろにメニュウを見てみるが、魅力的なものがたくさんあって迷ってしまう。せっかくだから、この店じゃなきゃ食べれないものを食べてみたいと思い、強くオススメされていたものを頼む。大根の煮物と豚の角煮が乗ったうどん。他のお客も、これを頼んでいて、『そういうのもあるのか!』となったものである。最初は熱くて、猫舌の私にはかなりキビしいものがあったが、丁度いい温度になってから食べてみれば、なるほど、これはおいしい。大根がいい役割を果たしているんだな、これは。ゴキゲンになった私は、間髪入れず、食後のデザートまで頼んでしまう。アイスクリイムと、驚愕のご当地グルメ・まんじゅうの天ぷら。これは太るぞ・・・・。アイスクリイムはまあいいとして、まんじゅうの天ぷらは、かなり得体の知れないところがあったが、実際に食べてみると、意外と普通の味。というかコレ、かりんとうまんじゅうとかなり系統が似ている。それほど突飛な味ではないため、会津を訪れた際は、毛嫌いせずに一食してみるといいだろう。
 新潟無機終焉都市に戻る。それは、一日の逃避行を終えて、いつも通りの生活に戻るということでもある。これからしばらくは、遊んでばかりではいけないだろう。そろそろ私も本腰を入れる時がきたのだ。その事実は、遊び人の私には憂鬱なものである。日は落ちて、車窓からは何も認められない。新潟までの車中、ずっと今後のことを考え込んでいた。イヤホンから流れる「マリンバ」を聴きながら。


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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

筆者結語

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