野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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高田独歩記(たかだひとりあるき)

 高田にきて初めての夜が明けた。今日は日曜日である。せんべいのように薄い布団に寝たせいだろう、なんだかよく寝付けなかったし、身体も痛い。この日は、ひとりで高田の町を歩いてみるつもりだった。これから一か月の間暮らすのだから、今後の生活のためにも、徒歩のスケールは早めに知っておきたかったのだ。
 ところで日曜朝といえば、私には毎週欠かさず観ているTV様の番組があるが、宿舎に用意されたTV様は地デジに対応していないということを、私は番組が始まる数分前に知ることになった。嗚呼、私の一週間の楽しみが・・・・。精神安定剤がぁ・・・・!でも、“いいこと占い”的には、この番組の放送時間三十分が浮いて、その分早めに出かけられるね。もうこの部屋に一秒でもいる理由はない。気持ちを切り替えて、部屋を出る。外はすでに春の陽気。あたたかな空気と柔らかい日差しが心地よく、まさにお散歩日和である。かなたに見える妙高山の残雪は眩いばかり。
 はじめに、昨夜に高田城百万人観桜会で賑わっていた、高田公園を目指すことにした。宿舎から公園まで歩いてどのくらいかかるのかは、私にとっては物凄く大事なことである。なお、この日は観桜会の最終日でもあった。こういう公園は、人数の少ない朝に訪れるに限る。昨日は多くの人でごった返していて、ちっとも落ち着けなかったからなおさらそう思えてくる。昨夜の車両通行止めはどこ吹く風、公園沿いの大通りは、たくさんの車が走っている。もちろんそこには歩く人もまばらで、なんだか昨日とはずいぶんと光景が違っている。昨晩のことが夢の出来事であるようにも思えてくる。これが本来の姿なのだろうが。お堀に架かる極楽橋を渡って、本丸跡に入城する。祭りの屋台も、まだこの時間には働き始めていない。
 園内を歩いてしばらくすると、三重櫓が見えてくる。昨日初めて目にして、噂どおりに小っちゃいなあなんて思っていたが、これが本丸の天守閣じゃないのだから小さくて当たり前だ。せっかくの機会だし、上ってみることにした。時刻はちょうど入城が始まった頃である。近くにある事務所にその旨を告げて入城料を払えばいい。事務所内の女性たちによると、いつもは三重櫓の中にも受付のような人がいるらしいが、今はまだ朝早くて誰もいないから、扉を開けて勝手に入ってとのこと。え、そんなに適当でいいの?そしてその伝で、ひとりで勝手に扉を開けて三重櫓に立ち入る。こんな時間に城に入る物好きは、どうやら私しかいないようであった。櫓の内部は、高田城に関しての資料館になっているが、こちらの方面に明るくない私にはちっとも分からないので、手っ取り早く、最上階の展望室に上がる。昨夜も三重櫓に上がってこちらを見下ろしている人の姿があったが、成程、あそこからはこのような景色が見えていたのだな。思ったよりも高く見える。束の間の城主気分を味わった。それにしても・・・・、高田公園に入った時から薄々勘付いていたが、三重櫓から周囲を見渡して確信に至ったことがある。桜散ってね?
 そんな時、ふとどこかから、実に下手くそな歌が聞こえてきた。これは大塚愛の「さくらんぼ」だ。懐かしい。音の出所を櫓の最上階から探してみると、どうやら観桜会のステージイベントがこんな時間から始まっているらしく、この下手くそな演奏はそれの一環であるらしかった。こんな下手くそな歌は聞いたことがない。櫓を降りて、ステージの方に近づいてみると、女子中高生のバンドが、今まさに演奏を終えたところであった。ふーん・・・・。こんなものを日曜の朝早くから聞きにくる物好きはいるのかと思っていたら、学校の友人たちが結構集まっている。そして、何を期待してか、ジャリボーイの集団の姿も見える。いやはや、なんとも青春してますなあ~。ぶっ飛ばしてやろうか!
 朝の高田公園。涼しげな風、小鳥のさえずり、そして爽やかな緑が目に映えて、とてもいい。って、緑!?いま、観桜会の期間中だよね!?そう、やっぱり、この頃の公園は桜がほとんど散ってしまっている。昨夜はライトアップの化粧でキレイに見えたが、あの景色は桜の花ではなく、照明の効果によるものがほとんどであったのだ。それを知るにつけて、なんというか盛大な“タネ明かし”をされたような気分になって、そして、主催者のある種のしぶとさを感じて、思わず苦笑いしてしまった。

 高田公園を出た私は、今度は高田駅を目指す。駅までの徒歩のスケールも、とても重要なものである。青田川を渡り、司令部通り、本町通りと道を巡っていく。何があるというわけではないが、散歩人にとっては、初めての町ということだけで、いくらかは楽しめるものだ。本町は、この辺りではいちばん大きな商店街である。地方の町の商店街といったら、いくつものシャッターが下りている光景に馴染みがあるが、ここは色々な店があって、結構頑張っている、というか普通に機能しているように思えた。これも北陸新幹線効果なのか・・・・。
 なんやかんやで高田駅に着いた。思ったよりも、小洒落た駅舎で驚いた。運賃、時刻表、売店、待合などを見ていく。名前だけ知っていても、具体的な輪郭の持てなかった駅の姿をついに確認して、ほっと胸をなでおろすような気持ちであった。ついでに、観光案内所に立ち寄り、高田観光の情報を集める。常駐しているガイドのお父さんに、春日山への行き方を尋ねる。時刻表と地図を参照しての説明で、どうやらバスで行く必要があるということを知った。案内所でしばらく高田駅周辺のスポットを調べてみる。自分には珍しく、高田について事前調査をしていなかったので、高田公園の他に、ここに何があるのか全く分からない。洋館、昔の銀行、古い映画館・・・・。なんだ、結構いろんなものがあるじゃない。少なくとも、新潟無機終焉都市よりははるかに見どころのある町に思える。
 いちばん気になったのが、高田世界館という日本最古級の劇場である。何より「世界館」という名前が気になって仕方がない。駅から歩いて行けそうだったので、まずはここを目指すことにした。本町通りを今度は北へ進む。道中の案内看板を見て初めて知ったが、ここ高田は、日本児童文学の父・小川未明先生の生誕地であるらしい。後で童話集でも買い求めたい。さて、住宅と小さなお店の並ぶ道を歩いてしばらくすると高田世界館に到着する。ここは、見学ができるということだったが、この日、文楽の公演が催されるようで、その準備がされていて、どうにも見学できるような雰囲気ではない。内部の見学は、今後の機会に持ち越すことにした。それにしても、文楽か。公演は夕方からだから、時間があったら観に来てもいいかもな。
 その、高田世界館の向かいに、なんだか小奇麗な町家があった。これは高田小町という、明治時代に建築された旧小妻屋を再生した交流施設なのである。なんらかの集会やイベント、またちょっとした休憩に利用できるスポットであるが、町家独特の吹き抜けや天窓、表の雁木などは残されていて、誰でも気軽に入れて見学することができる。この日、一階の茶室や二階の和室は、例の文楽の劇団の楽屋として利用されていた。ここにも高田についての資料が置かれてあり、数種類持ち帰ることにした。
 クラスメイトから連絡がきた。昼食をどうするかという内容である。おそらく、当地の人気ラーメン店に行くつもりなのだろう。私も行きたいので、駅で拾ってもらうことにする。お昼時まではまだまだ時間がある。それまで、できる限り町の見物をして回りたいところだ。
 本町通りを再び南下する。商店街の書店で未明先生の童話集を購入してさらに歩くと、司令部通りと合流をする交差点の手前で、旧第四銀行高田支店(百三十九銀行本店)に至る。一九三一(昭和六)年に建てられた当時は、高田では珍しい鉄筋コンクリート造りの建物であったらしい。一九六五(昭和四十)年の業務拡張、一九八一(昭和五十六)年以降の再開発や改築などを経て、今日まで保存されている。正面玄関から入ると、そこは広い銀行の営業室である。一階と二階が吹き抜けになっていて開放的で、かつ二階には回廊なんかも走っている。六本の円柱や格子天井などは白を基調にしており、柱頭や天井縁回りの装飾によってさらに上品に仕上がっている。明治~昭和初期の建築を見る機会はあれど、銀行を見学するのは初めてのことであったが、これはこれでなかなかいいものである。
 朝から歩きまわって流石に疲れが出てきたので、クラスメイトとの合流までは、商店街の喫茶店でのんびりしていることにした。コーヒーとコシヒカリジェラートを注文する。私はカウンター席に座ったが、奥の喫煙席では、薄汚い若者の群れが、タバコを吹かしながら馬鹿笑いをしている。おそらくこの日は最終日の観桜会にきたのだろう。花を愛でるようには、少しも見えない。ジェラートを口に入れて、無表情ながら内心では『おいしー!』とスパークリングしていたのも束の間、クラスメイトから連絡が。メールの文面からは、なんだか今にも駅に向かいそうな様子だった。流石に待たせてはマズイと思い、急いでコーヒーをキャンセルして、ジェラートをかき込んでいく。少しも憩うことができなかった・・・・。そして会計も素早く済まし、クラスメイトとの合流に、再び高田駅へと歩いていった。


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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

筆者結語

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