野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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ヒイッ!救急車っ!(クリクラ日記4)


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↑嗚呼、PHSに支配される日々・・・・


 クリニカルクラァクシップ(以下「クリクラ」)の第一シリーズは、新潟県内のとある市中病院にて、救急科の実習に取り組んでいた。我が校のクリクラは、三つのシリーズに分けて、内科から一科、外科から一科、マイナー科から一科をそれぞれ四週間ずつ回るのだが、救急科はマイナー科ということになるらしい。決して“マイナー”な分野じゃないと思うのだが、単純に内科、外科と括ることも難しいからこういう扱いになるのだろう。
 実習先はその地域一帯の救急医療の中核で、致命的な急患からウォークインまで、毎日いろいろな訴えの患者さんが訪れる。様々な訴え、疾患の患者さんがやってくるので、幅広い分野について大まかに勉強ができたのはよかった。外傷の患者さん(交通外傷があんなに多いとは思わなかった・・・・)も意想外に多く運ばれてくるので、そういう場合の初期対応の流れを身につけることができたのも、自分にとっては大きくプラスになることだろう。また、救命センターの入院患者さんから、集中治療について勉強できたのもよかったと思える。特に、今まであまり勉強してこなかった人工呼吸の設定の復習ができたのは有意義であった。
 これは地域性、あるいはこの国の実情というものであろうが、この四週間で、半端じゃなく高齢の患者さんと出会う機会が多かった。八十歳以上なんてザラで、大正生まれも珍しくないし、それどころか明治生まれの患者さんもいて、そのときは大いに『ヒョエ~!』と思った。これは高齢者が多いことによるものだろうが、なんとなく、大腿骨近位部骨折の患者さんをやけに多く診た印象がある。救急隊からの連絡で「転倒」というワードを認めただけで『ムムッ。』と思い、「臀部の痛み」と続けば『ああ~。』となる。臀部の痛みと両脚の脚長差を確認して、レントゲンを撮ってみたら、案の定、大腿骨の近位でポッキリと折れているのである。おかげでコンサルト先の整形外科の先生と会う機会がとりわけ多かった。

 この実習で、実際に私がしていたことはそれほど多くはない。バイタルを取ったり、大腿動脈からの採血(動脈血ガス、あるいは血液培養の検体採取ですな)をしたり、先生の診察の合間を縫って、こっそり問診したり聴診したり神経所見とったりといった程度。ひょっとすると、静脈ルートも取らなきゃいけないんじゃないかと思っていたが、この病院ではルート確保は看護師さんの仕事であり、私はちょっと手伝うくらいしかしなかった。『(ルート取り)やらせてください。』と言えば普通にやらせてもらえただろうが、私の他に、就業前実習の救急救命士さんもいて、いかにもルート確保の練習をしたそうな表情だったので、今後、ルート確保を嫌というほどやらなきゃいけないであろう私は、彼に機会を譲ることにしたのだ。
 血ガスに関しては完全に私の仕事であり、カルテを診て先生のオーダが入ってるのを確認したら、いそいそと採血に臨むのである。これまで血ガスは、見学先の病院で一度やった経験しかない。そのため今回の実習でも、最初は鼠径部を穿刺するのに変な汗をかきかき、息も荒らげに、一回ごとに神経をすり減らさなきゃならなかったが、終わりの頃となると、さも当然のようにブスっとやることができるようになった。刺したり切ったり縫ったりと、患者さんに侵襲を加えるような基本手技は結構あるが、それに対する過度な恐怖感がなくなったのは、私はいいことだと思う。指導医先生は、「並の研修医より上手くなった。」と褒めてくれたが、何かを気負わずにできるようになった時に禁物なのは、慢心を持つことである。事実、一度、たくさんの医者の先生がいる中で血ガスを取ったが、間違えて静脈を刺してしまい、とても恥ずかしかった。
 指導をしてくれた先生は、主に三人(コンサルトした科の先生もいろいろと教えてくれた)。不出来な私を放置しておいたり、苛んだりすることなく、丁寧に指導してくださった。昨年度の病棟実習のときもそうだったが、私は指導医の先生に恵まれることが多い。医局についてなど、将来についてのアドバイスも色々といただいた。私は、大学の医局に入るつもりは一ミリもないのだが、救急に関しては医局に入らない方が動きやすいのだと聞いて、医局に入らない道もたしかにあるということを知り、心強く思った。

 実習の後遺症が、二つ現れた。一つ目は、♪PiPiPi….という電話の着信音を耳にすると思わずビクッ!となってしまうというもの。救急科の実習では、患者さんがいないときは控室で自習等をしながら待機ということになるが、急患がやってくるときには、予め渡されたPHSで以て伝えられるのである。当たり前だが、急患はいつやってくるかわからないものであり、油断しているときに突然PHSが♪PiPiPi….と鳴るのはかなり心臓に悪く、私は毎回ビクッ!となってしまうのである。しばらくすると、明らかに私のではないPHSが鳴っているときにもドキドキと反応をしてしまうようになった。実習先から新潟無機終焉都市に戻ってからも、スーパーマーケットで買い物をしている最中に聞こえた他の客の携帯電話の着信音にも思わず反応してしまった。
 急患がいつ運ばれてくるのかは、本当に誰も分からない。実習の最初期、ランチタイムに控室まで出前を頼んで、食べ始めたばかりのとき、無慈悲にもPHSが♪PiPiPi….と鳴った。すぐさま救急外来に向かい、診察検査コンサルトを済ませて控室に戻れたのは夕方のこと。すっかり冷めてしまったハヤシライスが、無性にもの悲しかった。またある日は、もうすぐお昼になるという時刻に他のクラスメイトが出前を頼んでいる中、私はまだお腹が減っていなかったので、後で注文をすることにして自習に取り組んでいたが、正午の頃にちょうど空腹を覚え、そろそろ注文しようかと思った矢先に、無慈悲にもPHSが♪PiPiPi….と鳴った。空腹を携え、ランチ抜きで救急外来に向かい、なんだかんだで控室に戻れたのは八つ時のこと。こういう経験が何度かあったので、私は実習の休憩中も、心から休憩することはできず、常に肌身離さず身につけたPHSを意識した日々を送っていた。昼ご飯を食べるだけでも、売店に行くだけでも、御不浄に行くだけでも一筋縄ではいかなかったのだ。

 後遺症の二つ目。救急車のサイレンの音を聞くとなぜかドキッ!としてしまうようになった。また、換気扇の音や風の音が救急車の音に聞こえたり、実際には何も音がないのに、かすかに救急車の音が聞こるような錯覚をしてしまうようにもなってしまった。これは、もはやビョーキである。
 救急車のサイレンには、これといって悪い思い出はないのだが、やはり救急車のサイレンは患者さんがやってくる合図そのものである。また、始めは遠くから聞こえるサイレンが、段々とこちらに近づいてくるのは、そもそもあまりいい気はしないものである。実習の宿舎は病院の近くにあるので、放課後にダラダラしているときでさえも宿舎の近くの通りを救急車が走っているときは、『ヒイッ!救急車っ!』となってしまう。実習の途中に、連休を利して実家に帰省をしたときでさえも、救急車の音を聞くと心穏やかじゃなくなるし、新潟無機終焉都市に戻った今でも、救急車のサイレンがかすかにでも耳に入ると、なんとなく身構えてしまうのだ。


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↑実習を終え、新潟無機終焉都市に戻る途中で目にした、日本海に沈む夕日。今まで大きく思っていたなやみが、小さくなっていくのを感じた











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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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