野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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見に行こう、朝が生まれる瞬間を―星峠の棚田(新潟を遊びつくせ!3)




 あるクラスメイトと、ずっと前から行こう行こうと話していた場所がある。十日町市・松代、星峠の棚田である。おそらく、新潟県の旅行書に写真や案内が載っていると思うが、水の張られた多くの棚田が朝もやの中に浮かんでいるその光景は、当地を代表する絶景である。だが、田んぼに水が張られる時期や新潟無機終焉都市からの距離、さらには訪れる時間帯、そしてもちろん各人の都合と、数々の条件をクリアしないと、あの景観に出会うことは難しい。計画を考えてはいたものの、結局、色々の問題で、私たちはこれまで訪れることができなかったのだ。それが、実習の合間の休日に、もうひとりのクラスメイトも巻き込んで、ついに実行されることになった。新潟にいるうちにやりたいことは、多少無理をしてでもやるべきだと思っている。

 日の出の時間を狙っていたため、無機終焉都市を出発したのは、丑三つ時のことであった。もちろん辺りは真っ暗で、これからどこかにお出かけするようには思えない。こんな時間に車を運転してくれたクラスメイトはさぞ大変だったろうな。
 ガソリンの残量を気にしながら、闇夜の高速道をひたすら走る。下道に降りても空はまだどす黒く、ヘッドライトに照らされたところ以外に、外の様子は全く視認できない。夜の農村はとても不気味であった。道中で、道路を横断するタヌキを発見した。夜行性なのは仕方がないとして、どうして彼らはわざわざ車が走っているときに横切ろうとするのだろう。通り過ぎてから行けば、轢かれなくて済むのに。
 目的地に近付くにつれ、当然ガソリンは消費されていくが、いよいよ表示が「E」となり点滅するに至っては、クラスメイトと私はアタフタせざるを得なかった。J○AFのご厄介になることも覚悟したくらいだ。山村にはガソリンスタンドは滅多になく、あったとしても、そもそもこんな夜中から営業しているところなんてあるはずがないのである。とはいえ、このままでは無機終焉都市に帰ることができないので、目星はつけておく。
 松代駅を通り過ぎて、さらに山奥に入る。上り坂を恨めしく思いつつ、時おり見かける案内看板に従って、ガス欠寸前の車を走らせていく。この時点で、空がだいぶ明るくなり始めており、辺りの状況も見えるようになってくる。すでに、“それらしい”景色の中にいることが分かった。最後の困難・超上りの山道を上りきると、路上にはすでに多くの車が停まっていて少し驚いたが、あの景色がこれだけ多くの人を魅きつけているということを、分かりやすく示しているようでもあった。モノクロだった空は次第に色みを持ち始めた、もうすぐ日の出だ。タイミングはばっちり!
 この絶景を収めようとしているカメラマンと三脚の大群の合間から、棚田を望んだ。多層的な山々に囲まれ、辺り一面に棚田が広がっていた。例の朝もやこそなかったが、田んぼに満たされた水が澄んだ鏡面を形成して、時間に伴って変わる空の色を映している。向こうの山々から顔を出し、ゆっくりと、でも確かに上っている太陽の、燃えるような(実際燃えているわけだが)赤も、ほんのりと棚田に化粧を施す。私たちが目にしていたのは、このとき限りの、夜が明け朝が始まる瞬間であった。
 目の前に広がる景色を見ながら、木々が風に揺れる音や目を覚ました野鳥たちのさえずりを耳にした。澄んでいて、ちょっと肌寒い空気や、独特の、森林の香りというものも感じられる。写真だけでは伝わらないものがあると思った。それは、「その景色に溶け込む感覚」である。もしかしたらこの感覚を味わうために、私たちは色々な景色を見に行くのかもしれない。

 松代駅周辺のコンビニで買った朝食を、山間の現代アート作品を眺めながら食べる。ここまで色々あった気がしていたが、それでも時刻はまだ七時前で、朝は始まったばかり。なんだか得した気分だ。近くのガソリンスタンドがもうすぐ開店する頃合いである。無事に新潟無機終焉都市に帰れそうでなによりである。


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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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