野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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秋田独歩記(あきたひとりあるき)

 最悪だ。
 食堂では“今まで経験したことのないような史上最悪の”非道い仕打ちをうけるし、お目当ての美術館はよりによってこの日はメンテナンスで休館ときている。まるで、私のやること為すことすべてが良くない方向に向かっていくような、そんな幸先の悪さだ。
 どうしよう。もういっそ、次の特急で新潟無機終焉都市に戻ってしまおうか。でも、せっかく秋田に帰ってきて、わずかながら自由な時間ができたというのに、このまま嫌な思い出ばかりを連れて戻るのは、なんだか無性に悔しい。
 ここから、気分を変えようじゃないか。結局、戻りは夕方の列車と決めて、その時間まで束の間の秋田観光に繰り出した。秋田の生まれといっても、こういう機会は今までないに等しかった。
 しかし・・・・だ。ここ秋田市というのは、たしかに県庁所在地であり、県で最も大きく、商業的にも発展をしている街なのだが、不意に「何があるか」と問われると、実を言えば、これといったもののない街である事実に当たってしまう。竿灯祭りは有名であるが、あれは期間限定のイベントである。この街には、恒久的な観光資源というものがないのだ。
 強いて言うなら、件の美術館はなかなか見応えのあるものと考えているが、休館しているのでは全く仕様がない。また、この街には美術館がもう一つあって、時折、いい展覧会を催しているが、この日の特別展はちっとも心が華やぐところのないものであった。
 そうなると、行き場というものが見当たらなくなってしまう。だからといって、馬鹿の一つ覚えみたいに、駅前のレコード・ショップや雑貨屋などのコピー・アンド・ペースト店をぶらぶらしているのも、生産性がない。やっぱり早々に無機終焉都市に戻るべきであったか・・・・。
 そして開き直った。胸がときめくかどうかは置いておいて、秋田が擁する名所の類を片っ端から見て回ることにした。どんなことも、すべては後学のためである。
 「休館」も二文字を突き付けられて途方に暮れていた美術館前から、まずは千秋公園に足を運んだ。距離が近かったし、大きな公園だったらどこでも、それなりに楽しめるものだと踏んだのである。
 公園に入る手前に、県立会館がある。多くの高齢者で賑やかだったので何があるのかと少し見たところ、どうやら氷川きよしのコンサートが開かれるみたいであった。相変わらずの人気なんだな。その公演の来場者のものと思われる乗用車が、公園へと上る坂道に何台も駐車されていて、一台ももれなく警察から「路駐」の称号をもらっていた。コンサートが終わってさあ帰ろうと車に戻ってきた人たちが、この光景を目にしたときの心情を思うと、当然の報いながら、どこか気の毒である。
 千秋公園は、久保田城の跡に造られた公園である。城跡に造られた公園は特に珍しくはないが、それが平地ではなく坂を上った高台にあるとなると、だいぶ数が限られるのではないかしらん。全国の公園事情に精通しているわけではないので、なんとも心もとない予想だけれども。
 坂を上りきると、かなり開けた広場に出る。何もない、ただ広いだけの正真正銘の広場がそこにはある。この広場を見るに至って、なんだか小学生の遠足で訪れたことがあったような気がしたが、もしかしたら一度も来ていないかもしれない。傍らの売店でソフトクリイムを買って、園内を食べ歩く。
 ちょうど、ツツジが見ごろであった。広場から胡月池のほとりを歩き、さらに御隅櫓を目指す階段を上るまでずっと、ツツジが茂っているような感じである。緑の草木をバックに、赤、紅、桃、橙、白と色とりどりで、大層きれいだった。階下を見下ろすと、全体像がよく見渡せて、これも色彩豊かで実にきれいである。
 佐竹義尭公の銅像があるところまで上れば御隅櫓は近い。高い木々に見守られて歩けば、久保田城の面影を残す、御隅櫓に着く。「御隅櫓」とは物見櫓と武器庫の役割をもっているもので、久保田城には八つが建てられていたそうだ。現在建っている一つは、昭和の後期に復原されたもので、割と新しい見た目である。
 櫓の内部はありがちに、郷土資料を展示している。佐竹氏や久保田城について、そして秋田の歴史についての展示が一階二階にあるが、私はこういう郷土史の覚えがないので、少しも感情移入ができない。そんなことより最上四階の展望室が気になってしょうがなかったので、早々に階段を上っていく。
 高台に建つ櫓の最上階ということで、展望室は思ったよりも見晴らしがいよくなっている。秋田の小さな市街地はほぼ全体を見渡せることができる。大森山や土崎湊など、幼い頃の記憶があるところを遠くに見るのは、多少感傷的に思える。眺望も爽快であるが、涼しげな風が室を吹き通るので、とても心地がいい。人をダメにしそうな籐椅子も置かれてあって、一度座ってみると予想通りに座り心地が良く、風が吹きそよぐ肌寒さも快適で、午前の雑務に疲れていた私は、しばらく椅子から逃れられなかった。
 千秋公園を下りたあとは駅構内の喫茶店でコーヒーを飲みつつ線路を眺めてのんびり過ごそうと思っていたところに、母親から連絡がきた。曰く、赤れんが郷土館がオススメだという。公園から郷土館までだいぶ距離があることは知っていたが、時間の余裕もあったので、せっかくの機会と思い、再び歩行に従事した。県立会館から、氷川きよしのリサイタルの音が漏れている。かなり漏れている。
 旭川を渡り、竿灯大通りから横に入ったところ、ひときわ異彩を放つ巨大な建物が秋田市立赤れんが郷土館である。バスに乗ったとき、何度かこの前を通ったことがあるが、実を言うと、以前から気になるところはあったのである。
 二階建ての建築で、一階部は白いタイル貼り、二階部が名前の由来である赤れんがの造りで、屋根は黒い銅版ぶきである。直方体のように、左右対称かつシンプルな設計で多層性はない。道路に面した二本の円筒状の柱も目立っている。
 赤れんが館は、旧秋田銀行本店本館の通称であり、館内は昭和四十四年まで店舗として使用されていたままの姿を保っている。入ってすぐの大きな営業室はこれまた大きなシャンデリアや天井飾り、緻密な漆喰の装飾など豪勢な意匠を凝らせており、思わず唸ってしまうほど。二階の貴賓室などはバロック様式を採用しており、これまた豪華な内装となっている。
 郷土館は、勝平得之記念館と関谷四郎記念室という役割も有つ。勝平得之は秋田出身の版画家で、故郷を愛し、秋田の自然や風俗を主な題材として創作を続けていた人、関谷四郎は秋田市生まれの鍛金家の人間国宝である。私は両先生の作品への興味はないのだが、同郷の先人が故郷とどのように関わりあってきたのかはいくらか関心が惹かれる。また、両先生の仕事場が再現されており、職人の仕事風景を垣間見るようで興味深いものがあった。
 そろそろいい時間なので、駅に戻りの歩を進める。最悪の思いからの気分転換はできた感触はあるが、いろいろ歩き回って疲れもしている。戻りの車中で食べる駅弁を買った。たこ尽くし。


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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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