野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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Mind Scape(クリクラ日記15-最終回)




 新潟無機終焉都市に戻ってすぐに、以前実習でお世話になった先生方と酒を飲む機会があった。この先生たちとはとりわけ親しみやすかったので、この時も気兼ねなく楽しんだ。
 この会には病棟の看護師さんも来席していた。プライベートで看護師さんと言葉を交わす機会は、私にはほとんどなかったのでそれだけに貴重だと感じる。実習学生である私のことを、最初は三年目の医者だと思っていたというくだりはもはや使い古されている。この学校に入学して以来、私はずっとこんな仕打ちばかりを受けているのだ。年齢不詳という生き方。
 少し自慢話をさせてほしい。その看護師さん曰く、私は患者さんから人気だったらしい。本来、学生は患者さんにとって負担になる存在であるらしい(そうぶっちゃけられた)が、私は人当たりがよくてとりわけ評判が高かったそうだ。その後もお褒めの言葉は続くのだが、この甘言をいただいて、お世辞とも分かるので謙遜しながらも、私は内心嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
 看護師さんは、医者よりも患者さんに近い場所に立っている。そういう場所で働いている人の言葉には一層違った重みがあると思っているが、それが褒め言葉であると嬉しさもひとしおである。「そんなのどうでもいい。」「意味がない。」と嗤われながらも、患者さんといい関係を築くことを第一に思い、昨年度の臨床実習から今までずっと、その考えを信じて病棟に通ってきた。最後に聞かせてもらった看護師さんの話は、私にとっては何よりも誇らしい勲章である。



 四月から始まったクリニカルクラァクシップ(以下「クリクラ」)の、三か月に亘る全日程が、先日終了した。堕医学生として取り組む臨床実習も、これにて終了ということになる。
 私の学校のクリクラは、三か月を三つのシーズンに分けて、大学病院での一シリーズ、外病院での二シリーズを、内科系、外科系、マイナー系からそれぞれ一科ずつ選んで実習に臨むという形式である。お世話になる病院や診療科はすべて自分で選ぶことができるので、昨年度の病棟実習、いわゆるポリクリよりもはるかに自由度が高い。どの病院のどの科を選ぶのかは、人それぞれに様々な思惑があったはずである。私はシンプルに、「行きたい病院」と「勉強したい科」ということを考えてプランニングをした。
その結果、大学病院の他には、上越市高田と山形県鶴岡市の病院に赴くことに決まった。両者とも興味のある病院であったし、それぞれ希望する科にも行けたので、思惑通りに事が進んだと言える。
 ところで、「行きたい病院」「勉強したい科」という条件が大事であることはもっともであるが、私は今回の実習先を選ぶにあたり、「訪れたい土地」という、もう一つの重点も忘れてはいなかった。私は旅行好きで・・・・というか、“現在地”にじっとしているのが嫌な性分なので、学校行事という公式に生まれたチャンスを活かして、これから滅多に行けないような地方を訪れ滞在するのを、かねてから魂胆していたのだ。そのおかげで実習先を同じくするクラスメイトたちと、あるいはひとり身であっても、行く先々であちらこちらと観光して回ることが叶った。それに、一か月に亘る訪問先での仮初めの暮らしは毎日が旅行の最中のようで、私などはとても楽しい時間を重ねることができたのだ。
 さて、肝腎の実習面というところでも、やはり自分の好きなところに行けるというだけあって、どのシリーズも毎日が楽しく過ぎていった観がある。ポリクリと違って、講義や課題発表といった“義務”もないので、とても気楽に、ひたすら実習にだけ心血を注ぐことができるのが、いい。おかげで実践的な知識や技術を身に付けて、少しは成長することができたはずだ。自らそこを選んで来たということで余計にかわいく思われるのだろうか、どの病院でも、出会う先生方やスタッフの皆さんから多くの心尽くしをいただいた。私の要望や気持ちにもしっかりと応えてくれて、そして何より、独特な私のキャラクターを受け入れてくれて、とても嬉しかったのだ。感謝の言葉は尽きない。
 このクリクラを経て、私の内面の引き出しにより多くのものを収めることができたが、一方で、少し悩ましい副産物も持ち帰っている。というのも、これから自分が進むべき路というのが、また分からなくなったのだ。もともと私は、自らの進路についてはそれなりに具体的な考えを一つ二つ有っていたのだが、昨年度のポリクリ、そして今度のクリクラを通して、その計画が本当に最善であるのか、それは本当に自分がやりたいことなのか、自信を持って言うことができなくなった。
 私は、“楽しいの閾値”が極めて低く定まっている。何に限らず、たいていのことを楽しいと思ってしまうのだが、それは本業の方でも適応されている。昨年から今まで実習に取り組んできても、私はどの科に行ってもそれなりに楽しかったのである。そして、今まで全くのノーマークであった分野にも興味が出たりして、果たしてやりたいことが多くなり、いま進路を考えてみると色々と目移りしてしまって答えが出そうにないという状況なのである。何とか絞るところまではできているのだが、それらの選択肢はどれも面白そうで、やりがいがありそうで、いずれこれから一つを選ばなきゃいけないとなると、おそらく大きな葛藤に苛まれることだろう。全部を取れるのならそうしたいが、システム上、それは現実的ではない。
 しかしまあ、たったの一年半で考えがこれだけ変わるわけあるから、二年間の研修期間、すべての科を実際に働いて回ることで、また新たな考えが生まれてきてもおかしくはない。否、それがその線が濃厚である。然るに、現時点で、進路について懊悩しても仕方がないのではないかと思える。境界人としての立場が許されている今、もう少し、その立場に甘んじていたい。ふりだしに戻っても、またゆっくりと進めばいいのである。











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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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