野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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俺のマッチング




 私はいま、医大の六年生。このままいけば一年後には研修医として働き始めるわけだが、じっとしていても勝手に事が進んでくれるわけでもなく、当然、働きたい病院に出向いていって採用のための面接等をしなくてはならない。そのため、私もこの暑中休暇に、希望の病院に出かけて試験を受けてきた。
 私は来年から、郷里・秋田県で働きたいと思っている。具体的な理由と聞かれてもよく分からない。新潟暮らしにも少し飽きてきたし、他にも色々と思うところあり、自分の医師としてのキャリアは故郷で始めたかったのだ。秋田県内でも研修病院は様々あるが、そのなかから一つを選び、この夏の採用試験を受けることにしたのだった。ここには以前にも病院見学や研修説明会に出向いていって馴染みがあったし、自分が思うような諸々の条件にも合いそうな気がした。
 こういう採用試験にはどんな服装で行くのがよいか。一般的にはスーツ等でフォーマルに決めるべきだろう。実際、私もそのつもりでいた。だが、この病院については一つ特殊な事情があり、それを記録するためには、話を初夏の候に開かれた研修説明会の日に戻す必要がある。
 その日、研修説明会が終わったあとに、近くのお店で、ご馳走やお酒を並べての懇親会があった。私もその席に出たのだが、ここで院長先生から直々に「採用試験の時は、スーツではなく、今着てるそのままの服装で。」というアナウンスがあった。これはつまり、試験は平服でもいいよという話である。それを聞いた私は、窮屈なスーツを着る必要がなくなるので、大いに喜んだ。
 だが後日になって、改めてあの言葉の真意を考えてみると、院長先生を信じないわけではないが、なにしろお酒の席で出た話である、単なるリップ・サアビスだったような気がして、私はその日の服装一式を新潟無機終焉都市に置いて、結局はスーツを携えて秋田に里帰りをしたのだった。
 この話はまだ続く。そうして田舎に帰省した私の元に、今回の採用試験についての連絡が届いたが、そこには漏れなく「服装は説明会の時と同じもので」という留意点が添えられていたので驚いた。あの言葉は正式なものだったのだ!その説明会時の衣服をこちらに持ってきていない私はちょっとだけ気不味く思った。何も服装一つで合否が決まるわけがないので心配などはしなかったが、それでもなんとなく決まりが悪い。素直に事情を打ち明け、その後の連絡のやり取りで、いわゆるクールビズでも可という防衛線を張ることができた。当日、クールビズとはいえ、久しぶりにフォーマルな格好をした自分を鏡で見てみると、真人間のコスプレにしか思えない。

 この病院の採用試験、課題は小論文と面接である。医学の筆記試験がないのはとても有難い。まずは小論文を書くことになるが、一つのテーマに八百字以内と、小論文というより作文といった方がだいぶ似合う。文量としては大したものではないが、私はいつも書きたいことは書きたいように、文字数などは無制限にやっているので、むしろその制限のなかで一つの文章を凝縮できるかが心配であった。
 また、肝腎のテーマがどうなるかも気がかりである。例の説明会の時に、過去の試験でどんなテーマが出されたのかを教わったが、大きく、医療に関するものと、医療に関係のない人間性をみるようなものに二別されるようだった。私は前者の場合だと何も書ける気がしないので、後者がきて下さいと星に願いをかけていたが、信ずれば花開く、果たして後者がきたのである。しかも「わたしと読書」という、いかにも自分にお誂え向きのものがきてくれたので、小論文はすんなりとクリアできた。
 続いての面接は、他の受験者との集団面接の形式になった。この日のために大した対策はしていなかったが、志望理由や理想の医師像などのありそうな質問への答えくらいは用意してきた。あとは面接直前に他の受験者から聞いた面接の過去問も含めて考えていただけである。全く知らない病院ではないが、流石に少しは緊張した。
 面接は病院の偉い人四人と私たち学生四人が対面する配置で始まった。結果から先にいうと、私が準備していた志望理由や理想の医師像、他の受験者から聞いた過去問―これは医療に関係ある真面目なものだったが―は一つも質問されることなく、我々の人性を窺うようなことばかりを尋ねられた。こういう質問は気楽である。具体的に挙げれば、「この夏の思い出」「来月からの抱負」「座右の銘」「嫌な課題が出されたときの工夫」「チームで意見が食い違ったらどうするか」「個人メールアドレスの由来」「気になるニュース」といったようなものである。「個人メールアドレスの由来」を聞かれたときは、『ははあ、先生たちも飽きてるんだなあ。』と思い、少し気の毒なような申し訳ないような気持ちになった。最近私は言葉を口に出すのが苦手になってきたので、たどたどしい所は多々あったが、頓狂なことは言わなかったし、これもまあ大丈夫だったろうと思いたい。

 就職活動とは無縁の医学生にとっては、こういう各病院の採用試験こそが就職活動だといえるかもしれない。私は大した準備もせずに、ただ小論文を書き、面接を受けた。それでも結構疲れるものだったが、そうなると、本当の就職活動とはどれほどの心苦を負わねばならないのだろうか。だが、私たちは大学の入学時や在学中に心苦を負ってきているので、トータルとしての苦労度にはそれほど差がないかもしれない。
 さて、私の就職活動は終わった。人によっては複数の病院の試験を受けるようだが、私は最初からこの病院の試験のみを受けるつもりでいるので、就職活動は終わったと正式に 言えるのである。マッチング・システムで病院の順位付けを行う必要もない。第一希望が唯一の希望となっているのだ。










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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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