野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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只見線莫迦列車 一 不安しかない

 九月の秋の大連休は、近頃はシルバーウィークなどという俗称をつけられて、だいぶ世間に定着した観があるが、いかんせん歴史が浅いため、その存在は私の生活には全くといっていいほどに根づいていない。そも、この連休がある時期は大抵が夏期休暇の最中であり、あえて連休があるということなどは意識せずに休養することができていた。今年も、暦を見るまで連休が九月にあるんだか十月にあるんだか分らなかったくらいである。
 現在私は週に二度、火曜と金曜に試験を受けるという生活をしている。その週二の試験を受けて合格点を取りさえすれば、それ以外の時間は当人の勝手に使ってもいいということになっている。だから、試験が毎週に控えているとはいっても、いまの暮らしは長期休暇とそれほど大きな変わりはない。そのため、祝日があっても連休があっても、それらの有難みを感じることは、それほどない。祝日であってもなくても、もともとその日は休みと決まっているのだから。
 しかし、今年の秋の大連休があることで、火曜の試験が一つなくなることとなった。これで余計な用事が一つなくなり、金曜から翌週の金曜まで、久しぶりにもっともらしい連休を迎えることになった。連休になるのだとしたら、それなりに連休らしいことをしたくなる。そして私は旅行に出ることにした。日帰りを数回の形でも泊まりの形でもいいから、とにかく旅に出る。
 先日に郷里・秋田の全鉄道路線を乗り潰したのであるが、せっかく新潟にいるうちに、当県の線路もできる限り乗っておきたいという欲も現れてきた。どこに行くかを考える以前に、どの路線に乗るかを決めて、実際にどこにいくかはその成り行きで決めればいい。
 時刻表と路線図とを順々に睨みながら思案した結果、果たして只見線乗車を目的とした旅程を組んだ。こうなると日帰りは現実的ではないため、途中沿線で一泊することになった。
 旅の始まりはこれまでは大抵が新潟駅であったが、今度は珍しい気分で越後線の白山駅から乗ることになった。白山は私の家から最も近い駅である。最も近いとは言っても、家からは歩いて二十分ほどかかるという中途半端に不便な立地にある。しかし、事実家から最も近いので、最寄りだと言うしかない。なぜこの駅から始めたかというと、家から自転車で往復することができるからである。新潟駅には気軽な駐輪場がなく、旅行時に限らず、普段から自転車に乗っては行きづらい。それに比べて白山には、適当な駐輪場がある。一晩くらいは置いていってもかまわない。ところで、私の学校では第一学年時には教養科目の履修のために、医学部の校舎とは別の校舎に通わなくてはいけない。その際、私は電車で通学していたため、最寄りの白山駅は毎日のように使っていたという過去がある。大がかりな工事を経て、あの時とはまるで異なった姿になっている。
 また、私が白山駅を使うことになったのは、越後線に乗るからという理由もある。越後線は先の述べたように、かつて通学に利用していた路線であるが、全区間を通して乗った経験はない。これも乗り潰しておきたい。そしてもう一つ越後線に乗らねばならぬ理由があって、学割をできるだけシンプルに使うべく、最初の駅から鉄路をぐるりと一周するような旅程を組みたかったのだが、その中で磐越西線を使うこともあって、新津駅を二回使うことはできないから、信越本線を使うことは許されない。だが越後線を使って遠回りをすれば、穏便にぐるり一周の計画が組めるというわけだ。
 私がもともと乗るつもりだった列車は七時四十七分発吉田行だったのだが、当日、予想以上に早く目が覚めてしまい、それで家にいても仕方がないから早めに白山駅に向かったところ、六時四十八分の列車に乗れるみたいだったので、これに乗ることにした。これだと、寺泊で待ち時間ができる。
 沿線には、一年次の頃に頻繁に乗り降りしていた駅がある。第一学年は、私の大学生活、ひいては私の今までの人生の中で唯一無駄な一年間だったと言える。その一年で得た物は何もなく、一方で失った物はあまりにも多い。私が日陰に生きる学生となってしまった契機は、明らかにこの年である。だから、この駅のことを思うと鬱陶しい。だが、だからといって、今の私がこの駅を感傷深げな顔で見つめると思ったら、それは大間違いである。私は第一学年時の記憶をできるだけ抹消するように努めている。もともと価値のない一年だったのだから、なかったことにしても構わないというわけだ。その努力の賜物で、この駅は今や、私にとって一切関わりのないただの駅になっている。そのためか、私がチョコレートを食べているうちに、知らぬ間に列車はこの駅を通り過ぎていた。
 この日と翌日の概ねの天気としては曇りの予報で、降水確率は微妙だが、雨は降らない方に賭けることができそうな数字であった。だが、朝から怪しかった空は列車が線路を辿るにつれて黒みを増し、関屋のあたりから雨がぽつぽつと降りつ上がりつを繰り返していたのが、吉田に着く頃にはザーザーの本降りになっていた。念のために折りたたみ傘を持参していたから、そういう意味では心配はないが、しかし旅中の雨ほど幸先を不安にさせるものはない。やはりブーツを履いてくるべきだったかと、両足を包む薄手のペタン靴を恨めしく見るようなときもあったが、吉田で乗り換えてみれば次第に空は明るみを見せ、雲間から青が覗き、光線も漏れてきた。その空の色に一転して喜んだりするのだが、しばらくすると再び雨が降ってきて、ぬか喜びと化した。それからも天候は転々とし、晴れと雨の周期を繰り返すのだが、私はその度に一喜一憂させられる。一体どちらの周期で固定されるのか、それはこれからの旅の気分を大きく左右することである。こういう時、大抵私は非道い目に遭うことが多いので、不安しかない。そのうちに、列車は終点寺泊に停まった。この時、周期は晴れの相に落ち着いていた。










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  1. 2015/09/24(木) 08:48:46|
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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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