野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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秋風のパンキッシュ

 私は今夏の終わりに執筆制限宣言をしたわけだが、それからの日々で、文章を完全に書かなくなるのは、精神的に厳しいものがあるということがよく分かった。自分の言葉に責任は持ちたい。だから、あくまでも執筆制限は今後も続けるつもりだが、その制限をほんの少しだけ緩めて、週に一篇程度あたりで、たまには書いてもいいことにする。心身一如。精神が参ってしまえば身体の方にも不調を来すことになり、それは順に廻って最後は本業への支障に辿りつく。これは避けるべきことであるから、そういう意味でも私は文章を書いていた方が丁度いいと言える。



 学校の卒業試験期間は、案外と日々の時間を持て余して退屈だ。要点を付けば合格できるような試験がほとんどで、そもそも一日中机に向かわなくちゃいけないほど切羽詰まっているものでもない。ならばそういう時間は違う学習に充てるべきなのかもしれない。そのことは知っている。
 臨床実習に取り組んでいた頃は帰りが遅くなることが多く、それに伴って夕げの自炊も疎かになっていた。いまは一転して時間に余裕があるのだから、せめて人並みに毎日の食事は作らなきゃいけないだろうと思って、それを自分自身との取り決めにしている。私は料理をするのは面倒で嫌いだが、生きるためには食わないといけない。そして、料理好きの母親に育てられたせいか、ひとり暮らしでもそれなりのものを作って食べないと、なんだか後ろめたく思ってしまう。
だからこの日も台所に立つ。
 時間はあり余るほどにあるのだから、時間のかかるものを作らないと勿体ない。フライパンで焼いて、はい完成では味気ない。そういう料理を食べたくなる時もあるが、それは今日ではない。
 母親や祖母から教わった料理のレパートリーをあれこれと検索してみると、久しぶりにキッシュでも作ろうかと思いついた。これはある年の帰省中に「カフェごはん」なるものに凝っていた母親から学んだものだった憶えがある。作るのはあまり難しくなく、食卓に気取った雰囲気をもたらし、なおかつきちんとおいしい、そして焼き上がるまでに結構な時間がかかってくれるので、時間を浪費したい自分のような向きには打ってつけである。
 私は、キッシュという料理について知っているのは母親から教わったことばかりで、本場―フランスということでいいだろうか―における標準的な作り方など分からないため、もしかしたら私が思っているキッシュは正式のものとは大きく違った似非キッシュであるかもしれない。調理工程で私は食パンを使うが、これが偽物である可能性を考慮して、今から作ろうとしているものはキッシュではなく「パンキッシュ」と区別して呼ぶ。mihimaru GTでしょうか。

 パンキッシュの材料を列挙するが、食パン4枚、玉ねぎ1、2個、ほうれん草数束(いくらでもいい)、ウインナー1袋、ベーコン1パック、卵3個、牛乳150cc 、粉チーズ大さじ3、塩こしょう・バター適量といったところで、どれもマーケットで簡単に手に入るものばかりである。
具となる玉ねぎほうれん草ウインナーベーコンを切って炒める。卵を溶かして、それに粉チーズと牛乳を投入し塩こしょうで味付けしたものを作っておく。これは生地と呼ぶことができるだろうか。食パンは延べ棒などで平らに伸ばしてから、斜めに半分に切る。対角線に合わせて切るのではなく、少し傾きを急にして、正方形から台形を二つ作るように切るのがポイントである。
 耐熱ガラスの丸い食器にバターを薄く塗ってから、パンを放射状に並べていく。台形の長い方の底辺を食器の縁に合わせるように並べるといい。これがパンキッシュの土台になるわけである。その土台の上に具を均等に敷き詰めて、それに生地を流し入れる。そして、あらかじめ180℃に余熱しておいたオーブンで32分ほど焼き上げるのだ。

 出来上がったものはピザ用のローラーカッターで手頃な大きさに切り分け、お皿に乗せてテーブルへと運ぶ。食卓のお供は、適当にあつらえた野菜のサラダとクノールのカップスープで簡単に済ます
 パンキッシュを食べるのは久しぶりだ。この味を言葉で表現するのは難しい。卵や牛乳の甘みも感じられるが、ウインナー、ベーコン、チーズの動物的な塩気もある。それと同時に、焼けたパン生地の香ばしさや、ほうれん草の薄くほど良い苦みなどもしっかりと主張したりしていて、実にたくさんの味覚や触感が混ざってパンキッシュという料理の味ができている、などと言って誤魔化すしかない。
 窓から部屋に入り込む風が、段々と寒く感じられるようになった。空の高さを見ても、季節はもうすっかり秋である。今や日中も長袖の衣装を着ることがほとんどだ。ふと、テーブルの上の料理に、いま一度目を移してみる。野菜のサラダはともかくとして、パンキッシュとポタージュが相性よさげに並んでいるのを見れば、どうやら我が家の食卓も、夏から秋へと季節が移り変わったようである。










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  1. 2015/10/10(土) 18:34:56|
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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
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Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

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