野良犬の生活

部活もバイトもやっていない堕医学生の暮らしを記憶するレポート

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「浪漫鉄道」を聴きながら(四国瀬戸内旅行記)



  一、京都

級友との合流前、その合間で過ごすひとりの日
その地・京都でしたいことが思い浮かばず、終日無計画に廻り
某刻、新京極の映画屋に座を据えた
「秋刀魚の味」―新潟無機終焉都市で見損ねた映画
初見の眼に映ったのは、影と鏡の像がいい働きをしているということ
だがしかし、酒を飲むシインが多く、ゴクリと喉を鳴らすことしきり
案の定、宿までの帰路にそこらの店にアルコオルを求めたのだった


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  二、瀬戸大橋

おだやかなる海の文様は、日の傾きに沿って様々な姿を見せる
刻一刻と、その形なき形を変えていく
その瀬戸内の凪に大小の島々が浮かんでいた
さらに深みをますシアンの空に走る瀬戸大橋線の灯り
一様に塗られたオレンジの夕焼けに映る造船所のシルエット
私たちの島渡りの終着、間もなく坂出、香川、そう、そこはもう四国―
橋を往け、橋を往け
ひたすら真っ直ぐ、橋を往け


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  三、讃岐

「うどん県」を自認・喧伝する讃岐国、今は香川県
その実力には正に帽を脱するしかない
私たちが二十四時間内で訪ねたうどん屋は五軒
どの店のうどんも個性が違っていて多様性にまず驚く
そしていずれでも、一口目の感動は人生観が転回するかと思われるほど
御託のあれこれはほどほどに、只ひたすらにすすり食うといい
すると、雰囲気に云わされたものでなく、心からの「うまい!」が勝手に口から出てくるのだ


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  四、祖谷渓

大歩危・小歩危の奇岩を窓に見て、蛇行した山道を上っていけば
平家の隠れ集落の説も伝わる秘境・祖谷渓に至る
あ!日没が近い
怪しげな人形が見守るパーキングに車を置いて、かけ足
日本三大奇橋に数えるかずら橋が見えてきたろう
平家の落ち人伝説に由緒を発する、かずら造りの吊り橋
滅多に体感しない橋の揺れ、傾き
植物製というなんとなくの頼りなさ、歩きづらさ
極めつけが橋床の木組みの隙間から覗く、足下を走る川、岩・・・
あまりにもよく見え、落ちたら死ぬことが酷なまでに解る
感じるのは恐怖そのもの
へっぴり腰の旅人は、蔓を手放すことなく、そろりそろりと必死に歩く
ここで、とある発見
手ぶらで歩いた方が安定するじゃないか
この証明に、もう一度歩いてみたら、やっぱりそうだ!
だがしかし、安定を手に入れたからと云って、生々しい恐怖は霧散はせず
渡りきった背中は、妙な汗でジットリと湿っていた


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  五、夜土佐

高知に着いたのは夜のことで、晩酌には都合が良い
級友たちが調べていた飲んべえ市場に入った途端
ぎっしりと卓を埋め、酒に宴に興じる人々の陽気に少しくたじろいだ
「ハロー、マイフレンド!」
胡散臭いインド料理屋の席を押さえたら、各々、肴探しの小冒険に出る
カツオは当然として、地鶏にクジラ
土佐の夜でしか嗜めないものを集めれば、鼻も膨らむというもの
迷路のような市場を歩き廻りながら、同僚と、カップルで、家族で、ひとりで
それぞれのかたちで酒飲みを楽しむ人を何度も見た
その気軽さ、純粋さ、やさしさ
嗚呼、やっぱり自分も飲んべえだ
この時間が愛おしくてたまらない・・・!


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  六、松山

友人との旅行、とはいえ隙を計って己の趣味心は満たしたいもの
高松は琴電、高知は路面電車の土佐電
集団を離れたひとりになって、その地その地の鉄道に乗っていた
さて、ここ松山にも伊予鉄道―憧れの路面電車がある
当地中心部の交通は路面電車が最も便がいい
城も温泉も繁華街も、これ
平面交差の騒々しさも、街の空を幾何学的に飾る架線も
変遷する松山の地を、変わらぬ真面目さで走り抜けた路面電車が生みだした
街並みの景色一つ一つがとにかく新鮮で新鮮で
それでいてなぜかしら、こんなにも懐かしさが滲み出るのは


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  七、下灘駅旅情

松山での一日は、おはようからおやすみまでの個人行動となった
その利が落ちてきた時から、私の念頭に浮かぶもの
松山から予讃線で約一時間揺られて降り立つ
下灘駅
小高いところから伊予灘を望む、かつての「日本一海に近い駅」
思わず降りてしまう、旅人が辿りつく場所
沈み行く太陽に呼応するように瀬戸内の波や空が色を直す
歩廊に広がる景色に、一瞬と同じものはない
さあ海面に潜らんとする頃、信じられないほどに丸く、紅く燃える火の玉があった
戻りの列車、光の粒を残した凪を車窓のフレームに当てはめて、聴いた「浪漫鉄道」
久しく失いかけていた感覚に胸が熱くなる
鉄道旅行とはこんなにも楽しいものだったのか―


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  八、広島

戦争の終わった時代に生まれたことがずっとコンプレックスだった
勿論、話しを聴く限り、あの頃のような経験はしたいとは思わない
しかし、それを経た人間はそれだけで深みのあるような、気位が高いような・・・
戦争を知らない者は、人として“足りてない”かのような
まるでそんなことを言いたげな世間の風潮
それを真に受けてしまう自らの強迫のようなもの
それらはずっと私を鈍く苦しめ続けていた
だから、いつしか避けるようになった
話すことも、考えることでさえ
そんな私の目の前に、できれば見たくなかったものが立っている
広島県産業奨励館
人々は「原爆ドーム」と呼んでいる

焦げた壁面、剥き出しの鉄骨、当時そのままに周囲に散乱している瓦礫がいやに生々しい
広々と清廉な現代の平和記念公園の内で
その一画だけが一九四五年八月六日のままでいるような違和感
その差七十年のスケールの広大さに眩暈を覚えてしまう
見ていて嫌な気持ちだ、それは絶対に払拭できないだろう
だが、どこかは知らない心の片隅、確かに芽生えた気持ちがある
―自分はこのままではいけない
単純な人間と思われても構わない
でも私は、何も知らない若造だからこそ、変わりたいと思ったのだ

今でこそ世界遺産の意味合いも変わり
かすかに残っていた崇高さは廃れて
いまその有難みを噛みしめているのは、認定されたもの周辺の観光界といったところであろう
しかし、原爆ドームは真の意味で世界遺産にふさわしいと感じた
信じられないが本当に起きた人類史上最悪の事件の証拠としての意味
だからこそこの世界に遺すべきなのだ
だが、世界にはこの遺産に学ぼうとする人はそれほどいないのかも知れない
穏やかじゃないニュースを耳にするする度に、ふとそう考えてしまう
今もこの世界には様々な摩擦が存在するのだ
偏見や狭量の誹りを恐れずに云うなら、その摩擦のほとんどに、某国が関係しているような気がしている
かつて広島に、そして長崎に、もてあそぶかのように原子爆弾を落とした大国のことである
彼ら自らが生んだ遺産なのだから、そこから多くを学ぶはずだろうが
今も彼らはどこかの国に、時々爆弾を落としているらしい
朝のニュースキャスターはあっさりと、そう云う


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  九、別れ(京都2)

およそ一週間の旅行だった
それにしても一週間程度などは一瞬の夢である
寄り道しながらも、気がつけば始まりの地・京都に戻っているのであるから
一瞬の夢であるというのは、六年間のこの生活もそうかもしれなかった
振り返ればそう思うだけのことかもしれない
だが、今の私には一瞬の夢でしかないのだ
その一瞬の夢の中で、私は日陰者なりには、たくさんの人たちと交流をしたと思っている
その人々との意思の受信送信を経て
もしかすると自分は、どこか変わっている人間であるのかもしれないという思いを得るに至った
少なくとも一般的ではないのだろう(あくまで客観的に、だが)
私の普通は彼らの異常、私の異常は彼らの普通
振り返れば、その事実をひたすらに突きつけられ続ける毎日だった気がする
辛くはないが、ただなんとなく寂しかった
だが、困っていたのは私だけではなくて、チェス盤をひっくり返して考えてみると
私の異常な行動・言動には、彼らの方でも困っていたのではないか
それでも私を突き放さずにいて、時に遊びなどしてくれた彼らには感謝を思うしかない
これから彼らと何度会うことが出来るのだろうか
もしかするともう二度と会うことはないのかもしれない
だがそれでもこの関係は、一瞬の夢となってはほしくない

  1. 2016/03/22(火) 21:00:00|
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筆者紹介

シバケン-いかれたNeet-

Author:シバケン-いかれたNeet-
Sex:\(`・ω・´)
Work:堕医学生
Base:新潟死期終焉都市

趣味はお散歩、特技は悪だくみ

筆者結語

日常系赤面ブログ「野良犬の生活」を応援していただきありがとうございました

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長い間ありがとうございました

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